AA-52

AA-52汎用機関銃：フランスが生んだ独自の設計

AA-52（Arme Automatique Transformable Modèle 1952）は、第二次世界大戦後のフランスが開発した汎用機関銃です。当初はフランス軍の標準機関銃として開発されましたが、現在は主に車両搭載用として運用され、歩兵用としてはより軽量なミニミ軽機関銃にその役割を譲っています。

開発の背景

第二次世界大戦後、フランス軍は様々な出自の兵器を使用していました。自国製兵器産業の再建と、インドシナ戦争における新兵器の需要から、アメリカ製のブローニングM1919重機関銃や国産のFM mle1924/29軽機関銃の後継となる新型機関銃の開発が急務となりました。そこで1950年代初頭に開発が開始され、1952年にAA-52が完成しました。

製造においては、同時期に開発されたMAT 49短機関銃と同様にプレス加工を多用し、生産性の向上を図っています。AA-52は、フランス初の汎用機関銃でもあります。

設計と特徴

AA-52は、FA-MAS小銃と同じく、作動機構にレバー遅延型ブローバック方式を採用しています。この方式は、H&K社のG3小銃やHK21機関銃のローラー遅延型と同じ系統の遅動ブローバック方式で、レシーバー、ボルト、ボルトキャリアをレバーで連結し、テコの原理でボルトの開放を遅らせる構造が特徴です。遅延機構は銃の右側に配置されています。

銃身は固定式で、命中精度に影響するガスポートは存在しません。銃身は基部だけでレシーバーと結合するフローティング支持構造となっています。ガス圧作動方式の機関銃のようなガスシリンダーや、MG3のような銃身全体を覆う放熱カバーもないため、同クラスの汎用機関銃としては、すっきりとした外観です。二脚はFM mle1924/29軽機関銃と同じものが採用されています。

ZB26やMAGと同様に、銃身にキャリングハンドルが付属しています。これにより、銃身交換時に加熱した銃身を素手で保持できます。しかし、二脚付き銃身を交換すると、薬室部に砂や泥が入り込み、射撃不能になるトラブルが発生しやすいという欠点があります。また、銃身を取り外すと本体を支える手段がなくなるため、射手は片手で本体を保持しながら銃身を交換するという困難な作業を強いられます。

ただし、AA-52は、野戦での移動射撃時には二脚付き銃身を装着して軽機関銃として、三脚を使用する間接照準・持続射撃時には肉厚の重銃身を装着して重機関銃として使用することを想定しており、二脚を使用する際は銃身の加熱も少ないため、この欠点はあまり問題視されませんでした。

銃床は伸縮式で、保管・運搬時には縮めてスペースを節約できます。コッキングハンドルはボルトキャリアを後退させる方向にのみ作用し、射撃中は前進位置に留まります。金属製のベルトリンク（弾帯）は銃の右側面から装填され、使用済みの空薬莢は下へ排出されます。

NF-1：NATO弾仕様への移行

ド・ゴールの第五共和政下で、フランスは自立国防路線を採っていました。そのため、AA-52は当初、独自の7.5x54mm French弾を使用していました。しかし、NATO加盟国が7.62mm NATO弾を汎用機関銃用弾薬として使用していたため、合同作戦時に弾薬を共有できないという不利益がありました。

また、発展途上国への輸出においても、使用弾薬がネックとなり、他のヨーロッパ諸国に遅れをとったため、1960年代から7.62mm NATO弾を使用する派生型、NF-1が製造されるようになりました。フランス軍内のAA-52も逐次NF-1へ改修、または新規製造のNF-1に置き換えられ、現在に至っています。NF-1では二脚が新設計のものに変更されています。

各国での運用

AA-52/NF-1は、歩兵用機関銃として採用されているほか、ルクレール、AMX-30戦車、AMX-13軽戦車、AMX-10P歩兵戦闘車、AML装甲車、ERC 90装甲車、AMX-10RC装甲車、VAB装甲車、VBL装甲車などのフランス製装甲戦闘車両に副武装として搭載されています。また、フーガ マジステール練習機の機首部分に2挺装備することも可能です。

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