MDT ダビデ

MDTダビデ軽装甲車

MDTダビデ軽装甲車は、イギリスのランドローバー・ディフェンダーを基盤に、アメリカのMDT Armor Corporation社によって進化した小型の軍用車両です。この車両はイスラエル国防軍に献上されており、1990年代からの装甲車両の後継と位置付けられています。具体的には、ストームMk.1の後継モデルとして、2006年から導入が開始されました。

特徴と設計

この装甲車の設計は、既存の市販や軍用車両を基に装甲体を取り付けることで、導入や運用のコストを抑えています。MDTダビデは、安定した走行性能と十分な装甲防御を兼ね備えており、特にオフロード能力に優れています。また、MDT社の開発によって、短車体のタイプはランドローバー・ディフェンダー110を用いており、長車体のタイプにはトヨタ・ランドクルーザーLC79がベースとして使用されていますが、イスラエル軍で導入されているのは主にランドローバー・ディフェンダーに基づくモデルです。

この車両のエンジンは、2.2リッター4気筒のターボチャージャー付きディーゼルエンジンで、6速マニュアルトランスミッションを装備しています。4輪駆動システムを取り入れた走行装置により、アプローチアングル48°、デパーチャーアングル28°と、高度なオフロード性能を実現しています。

装甲と内部構造

MDTダビデの装甲は、メーカーによって「カプセル」式と表現されており、モジュール化されているため、軽火器や即席爆発装置（IED）からの攻撃を最小限に防ぐことができます。内部のシートアレンジは多様性があり、実用性を重視した設計になっています。荷台部分が装甲化された兵員室となっており、これがストームMk.2の5ドア型タイプと異なる点です。

後部の兵員室には、上部に窓がある一方で側面ドアがないため、後面に在る大型の昇降扉から迅速に兵士が乗降可能です。これにより、危険な地域でも素早い展開ができる利点があります。また、オプションとして機関銃用のルーフハッチの取り付けや、ストレッチャーの搬入が可能な設計になっており、必要に応じて医療搬送車両に改装することもできます。

新型モデルと運用状況

しかしながら、2016年初頭にディフェンダーが生産終了した影響で、トヨタ・ハイラックスを基にした新型ダビデ・ハリファが登場し、2018年からの導入が始まりました。この新型車両に関しては、2020年以降にエンジンブレーキやパーキングブレーキに不具合が報告されており、安全性に懸念が提示されています。この問題に対し、イスラエル国防省は引き続き調達と運用を行う意向を示しているものの、パンサーやティグリスといった新たな軽装甲車両も導入され、運用の多様化が進められています。

結論

MDTダビデ軽装甲車は、イスラエル国防軍における重要な装甲車両として、その機能性やコストパフォーマンスに優れた選択肢として位置づけられています。今後、技術的な課題を克服しながら、さらに進化していくことが期待されます。

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