MEN'S CLUB

『MEN'S CLUB』：日本のメンズファッションを牽引した老舗雑誌の軌跡

『MEN'S CLUB』（メンズクラブ、略称：メンクラ）は、日本のメンズファッションシーンにおいて長年にわたって影響力を持つ雑誌です。1954年、婦人画報社（現：ハースト[[婦人画報社]]）より『婦人画報増刊 男の服飾』として創刊され、1963年に現在の名称に改称されました。当初から表紙には『男の服飾 MEN'S CLUB』と記載されており、その歴史の深さを伺わせます。

創刊以来、『MEN'S CLUB』は一貫してトラディショナルなスタイル、特に「アイビールック」を大きく取り上げてきました。1956年には「アイビー・ルック」特集を組んだことで、このスタイルが日本中で流行語となるきっかけを作ったほどの影響力を持っています。2000年代に入っても、スーツスタイルを中心としたトラディショナルなコーディネートを提案し続け、多くの男性のファッションに影響を与え続けています。

長らく月刊誌として発行されていましたが、2023年からは年間発行回数が10回から4回へと変更されました。さらに、2024年からは定期刊行を終了し、不定期刊行へと移行しました。時代の変化に合わせて柔軟に対応しながらも、その伝統的なスタイルへのこだわりは揺るぎません。

『MEN'S CLUB』には、多くの著名人が関わってきました。例えば、俳優の沢村一樹さんや谷原章介さん、伊勢谷友介さんなどが誌面を飾ったり、特集記事に登場したりしています。また、ファッション界の巨匠である石津謙介氏や小林泰彦氏などもその歴史に深く関わっています。これらの著名人たちの存在も、雑誌の魅力を高める一因となっています。

ライバル誌としては、1950年創刊の『男子専科』が挙げられます。しかし、『男子専科』がテーラーメイドを前提とした高級志向の内容だったのに対し、『MEN'S CLUB』はファッションにとどまらず、カルチャーも幅広く取り上げることで差別化を図ってきました。1970年代には『チェックメイト』がライバルとして台頭し、若者層の間で人気を二分しました。2000年以降は、『UOMO』、『LEON』、『Safari』、『OCEANS』といった、同様のターゲット層に向けた雑誌が競合として存在感を増しています。

『MEN'S CLUB』は、単なるファッション誌にとどまらず、日本のメンズファッション文化を形成する上で重要な役割を果たしてきました。アイビールックの流行、トラディショナルスタイルの普及、そして数々の著名人との関わりなど、その歴史と影響力は計り知れません。今後も、不定期刊行という新たな形ながらも、日本のメンズファッションシーンに貢献していくことでしょう。

さらに、姉妹誌として2002年に休刊した『mc Sister』や、『エスクァイア』との関係性も注目に値します。『mc Sister』は『MEN'S CLUB』の妹分として、同様のトラッドテイストのファッションを紹介していました。『エスクァイア』とは、2013年からは『MEN'S CLUB』内コンテンツブランドとなり、別冊が発行されるなど、互いに連携を深めています。これらの関連雑誌の存在も、『MEN'S CLUB』の歴史と影響力をより深く理解する上で重要な要素となっています。

関連書籍としては、デーヴィッド・マークス著『AMETORA(アメトラ) 日本がアメリカンスタイルを救った物語 日本人はどのようにメンズファッション文化を創造したのか?』が挙げられ、日本のアメトラ文化を紐解く上で重要な一冊となっています。

『MEN'S CLUB』の今後の展開にも注目が集まります。不定期刊行となったことで、より質の高いコンテンツ提供に注力し、新たな魅力を生み出していく可能性も秘めています。日本のメンズファッション史に刻まれたその名にふさわしく、これからも時代を超えたスタイルを提案し続けることを期待したいです。

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