MF.11 (航空機)

モーリス・ファルマン MF.11について

モーリス・ファルマン MF.11は、第一次世界大戦期にフランスで開発された偵察・爆撃機であり、その設計を手がけたのはモーリス・ファルマン氏です。初飛行は1913年に行われ、以降、多くの戦場で活躍しました。

概要

本機は、従来のMF.7を基にした改良型であり、主な変更点はエンジンの強化にあります。新たに搭載された発動機により、性能が向上しました。また、初期の設計に存在したライト式カナードは廃止され、代わりに単葉の水平尾翼が採用されました。この改良により、機体の安定性も増し、運用の幅が広がりました。さらに、橇が前方に延長されることで、転覆防止策も強化されています。特に、イギリスではこの機体がその特徴的なデザインから「ショートホーン」と呼ばれていました。

運用実績

モーリス・ファルマン MF.11は、大戦初期の西部戦線での偵察や爆撃任務に従事しました。1914年12月21日には、英国海軍航空隊のMF.11がベルギーのオーステンデでドイツ軍陣地を攻撃し、これが第一次大戦における初の爆撃として記録されています。1915年には西部戦線からは撤退しましたが、フランス軍はこの機体をマケドニアや中近東地域で、またイギリス軍もダーダネルスやメソポタミアにおいて運用を続けました。

輸出と改造

イタリアのフィアット社は1915年の初めから、MF.11を基にした改良機をライセンス生産し、フィアット A.10エンジンを搭載しました。また、1916年にはオーストラリアがこの機体を練習機として導入しました。日本では1914年にMF.11の複葉機が輸入され、その後、改造されて臨時軍用気球研究会で使用されました。この改良機は国産モデルとして、陸軍によってモ式四型偵察機として採用されました。日本では、東京砲兵工廠と陸軍所沢飛行場で80機が生産されましたが、これは当初ライセンス契約上の認識不足から、違法生産の形で行われました。

さらに、日本ではエンジンも国産化され、ルノー70馬力エンジンは「ル式70馬力」として開発され、1914年以降、東京砲兵工廠で製造されました。その他にも、ルノー80馬力またはカーチス100馬力を搭載した機体が製造され、後には練習機型のモ式五型も開発されました。海軍でも、モーリス・ファルマン式大型水上機が制式採用され、量産が進められました。

性能諸元

• - 乗員：2名
• - 全長：9.45 m
• - 全幅：16.15 m
• - 全高：3.18 m
• - 自重：550 kg
• - 全備重量：928 kg
• - 発動機：ルノー 8B V型8気筒70馬力 × 1
• - 最大速度：100 km/h
• - 実用上昇限度：3,800 m
• - 航続時間：3時間45分
• - 武装：7.5mm機銃 × 1（前方旋回）
• - 爆弾：7.3 kg × 18

現在の保存機

現在、いくつかの博物館でモーリス・ファルマン MF.11の実機が保存されています。カナダ航空博物館では、オーストラリア向けに製造されたMF.11が展示されており、ベルギー王立陸軍軍事史博物館にも関連機体があります。また、オーストラリア空軍博物館や国立科学博物館でも、この機体の歴史が継承されています。

このように、モーリス・ファルマン MF.11は第一次世界大戦の中で多様な役割を果たし、その設計や運用における革新性は、航空機の発展に寄与しました。

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