MISSA

Dir en greyのインディーズミニアルバム『MISSA』は、彼らの音楽キャリアの幕開けを告げる重要な作品です。1997年5月上旬、メンバー5人がスタジオに3日間泊まり込み、レコーディング合宿を行いました。この合宿でメンバー間の距離が縮まり、バンドとしての結束が強まったと言われています。

しかし、制作前にはメンバーのToshiyaが脱退を考えるほど、バンド活動に苦悩していた時期もありました。初めての経験が多すぎると感じ、戸惑いや緊張、辛さを覚えていたようです。

販売元はワーナー、ソニー、フリーウィルと変遷しており、ワーナー販売分のみ品番が異なります。セルフプロデュースでありながら、元COLORのDYNAMITE TOMMYがトータル・プロデューサー、nuvɔ:guのCHIKAがアーティスト・プロデューサー、JEANAとCIVAがサウンド・アドバイザーとして参加しています。

ブックレットは縦開きという珍しい仕様で、Dieはエレキギターとアコースティックギター、薫はエレキギターを担当しています。1曲目の「霧と繭」では、京のアカペラにドアの開閉音を重ねる演出が施されています。

収録曲は以下の通りです。

1. 霧と繭
2. 「S」
3. Erode
4. 蒼い月
5. GARDEN
6. 秒「 」深

各楽曲の解説は以下の通りです。

霧と繭: 元々は「惨劇の夜」というタイトルで、歌詞が残酷であるという理由から、タイトルと歌詞が変更されました。ギターソロも若干リアレンジされています。後に「惨劇の夜」は「「楓」〜if trans...〜」に収録され、ライブでは「惨劇の夜」が演奏されるようになりました。Bメロのヴォーカルは左右のチャンネルから交互に聞こえるように加工されています。2014年には再構築バージョンが発表され、ライブでも披露されています。
「S」: 歌詞はカタカナと漢字のみで構成されています。Dir en greyが初めてライブで披露した曲であり、タイトルのSはサディストの意味を含んでいます。バスドラとハイハットのみで始まり、徐々に楽器が増えていくイントロが特徴的です。ヴォーカルには終始エフェクトがかかっています。
Erode: タイトルは「イロード」と読み、「～を浸食する」という意味の英語です。Toshiyaのベースソロから始まり、「他の誰かに抱かれ…」という箇所でDieがアコギを演奏しています。
蒼い月: Shinyaのドラムから始まり、京の「らんらーら」という歌声が印象的な楽曲です。初期のライブでは、サビ後に長い間奏が繰り返されるパフォーマンスが行われていました。2014年の日本武道館公演で11年ぶりに披露されました。
GARDEN: サビのメロディーが「季節の中で」という曲のメロディーと似ており、韻を踏んでいるように聞こえます。ギターソロは薫が担当しています。曲の終わりには歌詞カードにないフレーズが追加されています。ライブでは、DieのギターとShinyaのドラムに合わせて京がサビを歌うイントロが追加される演出が定番でした。
秒「 」深: ゆっくりとしたテンポで始まり、京の掛け声とともにテンポが速くなる楽曲です。ギターソロは薫が担当しています。サビのコーラスには、覇叉羅や黒蝪蝶、nuvɔ:guのメンバーが参加しています。2002年にはリメイクバージョンが発表されました。

『MISSA』は、Dir en greyの原点であり、彼らの音楽性の基礎が築かれた作品と言えるでしょう。

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