MIVEC

MIVEC：三菱の可変バルブタイミング技術

MIVEC（マイベック）とは、三菱自動車工業が開発した可変バルブタイミングとリフト機構の総称です。この技術は、エンジン性能を向上させるためにピストンの上下動にともなう吸気・排気の流れを効率的に制御します。特に、エンジンの回転数に応じてバルブの開閉タイミングや開口の大きさを変更することができるため、低回転時には短い間隔、高回転時には長い間隔での作動が可能となり、エンジン効率が向上しています。

MIVECの構造

MIVECには、ホンダのVTECやトヨタのVVTなどの競合技術と同様に、様々なタイプがありますが、三菱ではいずれもMIVECと呼称されています。これにより、異なるタイプの技術を明確に区別することが難しいため、注意が必要です。主に4つのタイプに分類されます：

1. DOHCカム切り替えタイプ
- これは1本のカムシャフトに2つのカムを組み合わせたもので、低回転と高回転に対して吸排気バルブのタイミングを切り替えます。この方式によりトルクと出力の最適化が図られますが、切り替え時にトルクが一時的に落ちる「谷間」が問題です。

2. カム切り替え・気筒休止タイプ（MIVEC-MD）
- このタイプはカムの切り替えに加え、特定の気筒を休止させることで燃費の向上を図ります。低負荷時に気筒の一部を休止させる工夫がされており、効率的な燃焼が可能ですが、実際には十分な燃費向上が確認できない場合もあります。

3. カム位相タイプ
- クランクシャフトに対してカムシャフトの位相を変えることでバルブの開閉タイミングを調整します。この方式は特に小排気量車に多く見られ、吸気と排気の効率を高めることが可能です。

4. 両側カム位相タイプ
- 吸気側と排気側の両方のカムを制御することで、さらに柔軟な性能調整ができます。

MIVECの発展とメリット

MIVECは、1982年に日本初の気筒休止エンジンであるオリオンMDエンジンが開発されたのを起点として、急速に技術が進化しました。1992年には、MIVECを搭載したエンジンが初めて市場に登場し、その後も様々な改良が加えられ続けています。

特に、2005年の東京モーターショーで発表された次世代MIVECでは、連続可変バルブリフト技術が導入され、従来のスロットルバルブなしで出力を制御できる革新的なシステムが実現しました。この技術は、吸気バルブの開閉タイミングを効率的に調整することで、低負荷時の燃料効率を向上させることで知られています。

結論

MIVEC技術は、エンジン性能を最大限に引き出すために設計されたバルブ制御システムです。エンジンのタイプや用途に応じた柔軟な調整が可能であり、三菱自動車のエンジンラインナップにおいて重要な位置を占めています。今後もさらなる技術革新が期待される分野です。

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