MOCHA

アルバム『MOCHA』の概要

『MOCHA』（モカ）は、今井美樹による4枚目のオリジナルアルバムで、1989年6月21日にフォーライフ・レコードからリリースされました。本作は、都会の真夏の日常をテーマにしており、独自のダンサブルな楽曲で始まります。1曲目から2曲目へと流れるスタイルで構成されており、聴く人を引き込みます。

このアルバムは、サブタイトルとして「under a full moon」が付けられており、特に初回盤は特殊なマルチ・デジパック仕様で販売され、30万枚の限定流通がされました。月刊明星歌本のインタビューでは、今井は「前作『Bewith』までの流れを一区切りし、階段をよじ登るような進化を遂げたアルバム」と語っています。

制作背景

今井美樹は、後年のインタビューで歌詞の内容に対して若干の不満を表明しました。「もっと深く作詞家やプロデューサーとの話し合いをし、時間をかけて制作したかった」と回顧しています。ともあれ、アルバムの最後に収録されているバラード「地上に降りるまでの夜」は、録音中に感極まり、涙を流しながら歌った仮歌が収められています。プロデューサーはその感情豊かな歌声を評価し、収録を許可しました。今井はこのアルバムにおける自分の歌声や声質が、過去の作品の中で最も気に入っているとインタビューで度々明かしています。

参加作家

作詞には岩里祐穂、作曲には上田知華、柿原朱美、MAYUMIといった女性作家が参加し続けました。さらに、今作には初めて山口美央子が関わっています。これにより、女性の視点から描かれた楽曲がより深化しました。

アナログ盤の特性

アナログ盤としては最後のリリースとなった『MOCHA』ですが、1989年当時はCDが主流であったため、アナログ盤の生産流通枚数は少なく貴重な存在となっています。近年のシティポップ人気の影響で再評価されており、中古市場やオークションではプレミア価格で取引されることが多くなっています。

収録曲の解説

アルバムに収められた曲は、多様なスタイルを持ちます。「TOKYO 8月 サングラス」や「横顔から I LOVE YOU」など多彩なトラックが並び、デビュー前の高橋洋子がコーラスで参加した曲もあります。また、先行シングルの「Boogie-Woogie Lonesome High-Heel」はアルバムバージョンとして収録されており、リズム感あふれる一曲です。さらに、6thシングル「瞳がほほえむから」のカップリングとしてリリースされた「飽きたら言って」も収録されています。

「地上に降りるまでの夜」などの楽曲は、聴く人に深い情感を伝えるものであり、今井美樹の歌唱力の高さを改めて感じさせる仕上がりとなっています。

まとめ

『MOCHA』は、単なる音楽アルバムではなく、今井美樹の音楽的成長や感情が詰まった一枚です。その魅力は、聴く人々の心に残り、シティポップの人気再燃とともに、新たな評価を得ています。

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