MONEY (浜田省吾の曲)

浜田省吾「MONEY」：時代を映す楽曲

「MONEY」は、1984年10月21日に発表された浜田省吾の楽曲です。アルバム『DOWN BY THE MAINSTREET』に収録されており、シングルカットはされていませんが、彼の代表曲の一つとして広く認知されています。作詞・作曲は浜田省吾自身が手掛け、編曲は町支寛二が担当しました。

コンサートでの人気

「MONEY」は、浜田省吾のコンサートでは定番の楽曲として知られています。ファンからの人気も非常に高く、ライブ会場では一体となって盛り上がる光景が見られます。特に、歌詞の一部を女性客が歌うのが恒例となっており、会場全体が熱気に包まれます。

楽曲の誕生秘話

楽曲のアレンジは当初、ほぼ完成に近い状態でしたが、町支寛二が提案したイントロのギターフレーズを聴いた浜田省吾は、その瞬間にアレンジを一から作り直す決意をしたそうです。浜田省吾によると、最初のバージョンはジャーニーのようなポップ・ロック風のアレンジだったとのことです。

テーマと歌詞

「MONEY」は、タイトル通り「金」をテーマにした楽曲です。当時の日本の音楽シーンでは、「金」をテーマにした歌は少なく、「金」というもの自体がネガティブに捉えられがちでした。しかし、バブル経済に向かっていく日本の空気を感じた浜田省吾は、あえて「金が欲しい」と歌う楽曲を制作しました。楽曲の最初の構想段階では、ドラッグストアに強盗に入った少年が警察に追われ、橋の下に身を隠している場面から物語が始まる予定でしたが、最終的にその部分は削られ、現在の形に落ち着きました。

歌詞には高級品の代名詞として「純白のメルセデス」や「ドン・ペリニヨン」が登場します。楽曲の発表当時、ドン・ペリニヨンは一般的に知られておらず、「ベッドでドン・ペリニヨン」という歌詞の文脈から、「ドン・ペリニヨンってSEXの体位ですか？」などと質問されることもあったそうです。吉田栄作も『笑っていいとも!』初出演時にこのエピソードを語り、「意味は何だかよく分からなかったが、とにかくビッグになって、ベッドでドン・ペリニヨンしたいと思った」と話しました。この楽曲によって「ドンペリ=高級な酒」というイメージが広まったと言えるでしょう。

影響

多くのアーティストや音楽ファンが「MONEY」から影響を受けたと語っています。福山雅治は、TOKYO FMの特別番組『JFN Special Life Time Audio 2022～My first music 14歳のプレイリスト』で矢沢永吉と対談した際、自身の「14歳のプレイリスト」として本曲を挙げ、「凄まじくお金に対する渇望が表現されていて、当時の僕にとって凄くインパクトがあった」と語り、矢沢永吉の前で「MONEY」の歌詞をフル朗読しました。

カバー

「MONEY」は、様々なアーティストによってカバーされています。

2005年：森ひろこ（シングル「MONEY」に収録）
2015年：青木隆治（アルバム『VOICE 198X』に収録）
* 2019年：伸太郎（シングル『MONEY／もうひとつの土曜日』に収録）

「MONEY」は、時代を映す鏡のような楽曲であり、そのメッセージは今も色褪せることなく、多くの人々に響き続けています。

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