MOTHER (LUNA SEAのアルバム)

MOTHER：LUNA SEAの新たな地平を切り開いた革新的アルバム

1995年、日本のロックシーンを牽引するLUNA SEAが発表した4枚目のオリジナルアルバム『MOTHER』は、バンドの進化と深化を象徴する作品として、高い評価を得ています。前作までの3部作を経て、より本質を追求しようとするメンバーの強い意志が感じられる、まさに集大成ともいえる一枚です。

初回限定盤には、通常盤とは異なるジャケット写真が使用されたピクチャーレーベルCD、ブックレットより一回り小さいスペシャルフォトブックが同梱されるなど、ファンを魅了する豪華仕様が施されました。さらに、バンドスコアには、アルバム収録曲全10曲に加え、RAINとFALLOUTの2曲を加えた全12曲分の楽譜と演奏ポイントが掲載され、楽曲の奥深さをより深く理解することができます。メンバーが当時使用していた楽器や機材の写真も掲載されており、当時のライブの臨場感を味わえる貴重な資料となっています。

2007年には、最新リマスタリング音源と「ROSIER」「TRUE BLUE」「MOTHER」のPVを収録したDVDとの2枚組で再発され、より多くのリスナーにその魅力が伝えられました。マニピュレーター兼キーボーディストの菊地大輔が制作に関わったのも、このアルバムからで、サウンドに新たな幅をもたらしています。

各楽曲の魅力に迫る

LOVELESS

アルバムの幕開けを飾る「LOVELESS」は、「LOVE」というセリフで始まりと終わりを迎え、その対照的な構成が印象的です。SUGIZO曰く、「この曲以上に始まりにふさわしい曲はない」と評されており、LUNATIC TOKYOをはじめ数々のライブでオープニングナンバーとして演奏されました。イントロや曲中、アウトロではSUGIZOによるドイツ語のカウント（eins zwei drei vier）が繰り返され、最後のフレーズでは「Du bist Lieblos (ドゥー ビス リーブロス)」という、日本語で「あなたは愛なき者」という意味の言葉が響きます。

ライブパフォーマンスでは、SUGIZOによる12弦、フレットレス6弦、フロイドローズ付き6弦のトリプルネックギターが使用され、INORANは12弦のエレアコを用いて演奏します。それぞれのギターの特性を活かした演奏は、楽曲に深みを与えています。サビの後にはギターソロはなく、ドラムソロがシンセサイザーをバックに展開される、意外性のある構成も魅力です。

ROSIER

3rdシングルとしてリリースされた「ROSIER」は、シングルバージョンとは異なり、アルバムバージョンではサビを歌い切り、「I am the trigger」というセリフで終わります。ライブでのパフォーマンスをそのまま再現したかのような、力強いエンディングが特徴です。

FACE TO FACE

INORANによるギターシンセサイザーやE-Bowの使用、RYUICHIによる間奏の歌声が特徴的な「FACE TO FACE」。ライブでは、レコーディングとは異なり、イントロのドラムパートが2倍の長さになるなど、よりダイナミックなアレンジが施されます。

CIVILIZE

SUGIZOのワーミーペダルを駆使したリフが印象的な「CIVILIZE」。曲全体がシンメトリーな構成となっており、SUGIZOのギターソロも前半と後半で対称的な構成になっているなど、楽曲全体に計算された美しさが見られます。

GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜

8分を超える大作「GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜」。RYUICHIは親友への想いを、SUGIZOは大切な人を亡くした時の感情を込めたと語っており、その深い情感は多くのリスナーの心を掴みます。ライブでは、真矢のドラムソロとセットで演奏されることが多く、SUGIZOのトリプルネックギターも使用されています。

AURORA

アルバム唯一のメジャー調の楽曲「AURORA」。ビデオ『Sin After Sin』のエンディングテーマ「AFTER SIN」のピアノフレーズを基に作られた、美しくも切ないメロディーが特徴です。間奏にはモールス信号が用いられるなど、独特の雰囲気を醸し出しています。

IN FUTURE

2ビートナンバーの「IN FUTURE」。歌詞は漢字とカタカナのみで表記されており、その独特の世界観を表現しています。Aメロのヴォーカルにはエフェクトがかかっており、ライブでも特別なマイクを使用して再現されています。

FAKE

SUGIZOのフレットレスギターのフィンガーピッキングが美しい「FAKE」。ライブでは一度も演奏されたことがない、非常に貴重な楽曲です。ギターソロの後にはヴァイオリンとドラムソロが続き、楽曲の奥行きを広げています。

TRUE BLUE

4thシングルとしてリリースされた「TRUE BLUE」。アルバムバージョンでは、シングルバージョンとアレンジ、ミックスが同一です。

MOTHER

アルバムタイトル曲である「MOTHER」は、SUGIZOのヴァイオリンソロが聴きどころです。ライブでは、SUGIZOがトリプルネックギターからヴァイオリンに持ち替え、曲の終わりまで演奏するダイナミックなパフォーマンスが披露されます。シングルカット版も存在しますが、ミックスはアルバムバージョンとは異なります。

『MOTHER』は、LUNA SEAの音楽性を多角的に示した、まさにマスターピースと言えるアルバムです。各楽曲に込められたメッセージ、緻密な構成、そして高い演奏技術によって生み出されたサウンドは、今もなお多くのリスナーを魅了し続けています。

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