MP40

MP40：第二次世界大戦を象徴する短機関銃

MP40は、第二次世界大戦においてナチス・ドイツ軍が広く使用した短機関銃です。Maschinenpistole 40（マシーネンピストーレ・フィーアツィヒ）の略称で、その簡潔で効率的な設計は、戦場の様相を大きく変えました。本稿では、MP40の開発から戦後への影響、そして日本のモデルガン文化における地位までを詳細に解説します。

開発と設計思想

MP40のルーツは、第一次世界大戦末期に開発されたMP18やMP28に遡ります。これらの初期の短機関銃は、その有効性を実証しましたが、大量生産にはコストがかかりました。ドイツ軍は、より安価で大量生産可能な短機関銃を求めていました。このニーズに応える形で、エルマ・ベルケ社はMP36を試作し、改良を重ねた結果、MP38が誕生しました。さらに、生産性とコスト削減を図るため、改良が加えられたMP40が採用されました。

MP40の設計は、それまでの短機関銃とは大きく異なっていました。従来の木製銃床に代わって、鋼板プレスとパイプによる折りたたみ式銃床を採用。グリップ周りはベークライト製とするなど、軽量化とコスト削減に重点が置かれていました。また、マガジンハウジングとマガジンがフォアグリップの機能も兼ね備えており、高い効率性を追求した設計と言えるでしょう。

弾薬には、ドイツ軍が標準採用していた9mmパラベラム弾を使用。リコイル・スプリングを伸縮式リコイルユニットに収納し、エア・バッファと防塵・防泥カバーを兼ね備えることで、軽量なボルトでありながら500発/分の連射速度を実現しました。射撃モードはフルオートのみで、セミオート機能はありませんでした。銃身の下面には、車輌などに銃を委託した射撃や銃眼からの射撃を容易にするためのリブも備えられていました。

バリエーション

MP40には、いくつかのバリエーションが存在します。初期モデルであるMP38は、レシーバーが鋼製パイプの切削加工品、グリップフレームがアルミ合金鋳造品だったため、生産性に課題がありました。安全装置もありませんでした。

MP40は、鋼板プレス加工部品を溶接で組み合わせることで、生産性を飛躍的に向上させました。MP40/Iでは、マガジンハウジング側面に強化リブを追加、ボルトを前進状態で停止させるセーフティ機構を追加するなど、信頼性の向上が図られました。MP40-IIやMP40/IIは、戦況の変化に対応した改良型です。また、警察用として木製銃床を備えたMP41も存在しました。

戦後と世界各国での使用

ドイツの降伏後、MP40の多くは連合国によって接収されました。しかし、その信頼性と簡素さから、ソ連を含む多くの国で広く使用されました。朝鮮戦争や第一次インドシナ戦争でもその姿が見られました。イスラエルでは、建国期に大量のMP40が使用され、国防に貢献しました。今日でも、南米やアフリカなどの紛争地域で使用されている事例が確認されています。

MP40の設計思想は、世界各国の銃器設計に大きな影響を与えました。アメリカのM3グリースガンやイギリスのステン短[[機関銃]]、ソ連のPPSなどは、MP40のデザインや生産方法から着想を得たと言われています。

日本におけるMP38/MP40

日本においては、第二次世界大戦中にドイツと同盟関係にあったものの、MP38/MP40は軍隊で使用されませんでした。日本人がMP40を知るようになったのは戦後、映画やテレビを通じてです。

戦後、MP40はモデルガンの素材として人気を集め、MGC社やマルシン工業などから多数のモデルガンが発売されました。MGC社のMP40は、特に高い評価を得ています。現在でも、エアガンとしての製品化が続けられています。

まとめ

MP40は、その簡潔な設計、大量生産性、そして信頼性から、第二次世界大戦において重要な役割を果たしました。戦後も世界中で使用され続け、その影響は現代の銃器設計にも及んでいます。日本のモデルガン文化においても、MP40は重要な位置を占めており、今日でも多くのファンを魅了し続けています。

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