MSX・FAN

MSX・FAN（エムエスエックスファン）

『MSX・FAN』は、かつて徳間書店インターメディアが発行していたパソコン雑誌で、その名の通りMSXに特化していました。1987年3月に創刊し、1995年7月に休刊を迎えました。この雑誌は、初期には月刊として発行されましたが、1993年以降は隔月刊に移行しました。特にプログラムやゲームに関する情報を網羅し、読者とのインタラクションを強調する内容が特徴的でした。

創刊の背景

『MSX・FAN』が創刊されたのは、1986年末に松下やソニー、サンヨーから廉価版のMSX2が発売されたことがきっかけです。この市場の拡大を見越して、雑誌の発行を決定しました。創刊号では日本ファルコムの人気ゲーム『ロマンシア』と『ザナドゥ』が特集され、当時のMSXゲーム文化を振り返る重要な役割を果たしました。

内容と構成

雑誌の内容はゲーム関連情報を中心に構成されており、新作ゲームの攻略やハードウェア情報、イベント情報などが掲載されていました。また、「FFB（ファンファンボックス）」コーナーでは、ライターのバボによる独特な寄稿や、野見山つつじによるイラストが楽しめました。さらには、読者投稿によるプログラムコーナー「ファンダム」は、多くのユーザーがMSXのプログラミングを学ぶ場所として人気を博しました。

プログラム投稿コーナー「ファンダム」

「ファンダム」コーナーでは、編集部によって選ばれた読者のプログラムが掲載され、優れた作品には報酬が与えられる仕組みでした。その人気の高さが、この雑誌の魅力の一部となることに貢献しました。特に「1画面プログラム」という形式は、簡潔ながらも内容の濃いプログラムが奨励され、読者の創作意欲をかき立てました。寄せられたプログラムは、通算1,008本に及び、投稿者の平均年齢も18歳という若い層が多いことが特徴でした。

読者との交流

読者からの投稿に力を入れる一方、「ゲーム十字軍」などのコーナーを通じて、裏ワザやQ&Aを提供する形でファンと近しい関係を築いていました。このような双方向的なスタイルが、多くのユーザーから支持を受けていたのです。

発行形態の変化

1991年からは付録としてフロッピーディスクが毎号つくようになり、これは雑誌の形態がムックとしての性格を持つようになったことを意味します。この変更により、読者がプログラムをすぐに楽しむことができる環境が整いました。また、付録ディスクには新たなプログラムやゲームが収録され、さらに魅力を増していきました。

MSXの衰退と雑誌の変化

しかし、1990年代にはMSX市場の衰退が著しく、特に16ビット機への移行が進行していく中、に『MSX・FAN』は発行部数の減少や休刊への道を歩むこととなります。1994年には休刊予告を行い、翌年に実際の休刊を迎えました。この時期、読者からの感謝の声が多く寄せられ、MSXコミュニティにおける重要な存在だったことを改めて証明する形となりました。

休刊後

最終号は1995年7月に発行され、8000部が公称部数として記載されました。その後、徳間書店インターメディアは解散し、余剰著作権は徳間書店に引き継がれました。

今後ともMSX・FANに寄せられた思いは、多くの読者によって語り継がれていくでしょう。パソコンゲームの歴史に名を刻んだ本誌は、今なお多くのファンにとって、懐かしい存在であり続けています。

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