ロマンシア

ロマンシア (Romancia): かわいさ余って難しさ100%のアクションアドベンチャー

『ロマンシア』は、1986年に日本ファルコムから発売されたX1シリーズ用のアクションアドベンチャーゲームです。木屋善夫氏がプロデュースしたドラゴンスレイヤーシリーズの第3作であり、サイドビュー方式を採用しています。開発は日本ファルコムが担当し、シナリオは後に『ソーサリアン』を手掛けることになる五十嵐哲也氏、音楽は阿部隆人氏と古代祐三氏が担当しました。プレイヤーは主人公のファン・フレディを操作し、攫われたロマンシア王国の王女セリナを救出することを目的とします。

概要

サブタイトルは『ドラゴンスレイヤーJr.』と表記されており、シリーズのナンバリングは、あまり強調されていません。64キロバイトという限られた容量で、グラフィック、プログラム、サウンドが全て収められており、ゲーム中のディスクアクセスは一切ありません。

本作は「Jr.」と名乗りながらも、難易度は非常に高く、パッケージには「こんなのアリか!?」と記されています。セーブ機能がなく、一度間違えると最初からやり直さなければならない罠や、ヒントがない謎などが多数存在します。

タイトルの「ロマンシア」は、1735年に発表されたフランスの冒険小説『ファン・フェレディン王子のロマンシアへの驚くべき旅』からの引用とされています。ゲーム内の主人公「ファン・フレディ王子」など、いくつかの共通点が見られます。

元々は実験作であり、メインタイトルとする予定はありませんでしたが、フルカラーの横スクロールという基礎部分を拡張し、ゲームとして仕立てたものが本作です。

ゲーム内容

パッケージにはニュータイプアドベンチャーゲームと表記されています。基本的には謎解きゲームであり、「アクションアドベンチャーゲーム」に分類されます。セーブ機能はなく、ゲームを途中で中断することはできません（裏技的なコンティニューは存在しました）。

プレイヤーは以下のパラメータを持ちます。

HP: 体力。
WP: 剣を投げて遠距離攻撃可能な回数。尽きても近距離攻撃は可能。城で回復。
MP: アイテムを使用できる回数。天国で回復。
DP: ダメージをHPの代わりに吸収できる防御力。
GP: 所持金。各種パラメータの回復に使用。
KR: 主人公の善人度。謎解きに関わる。

この他にもアイテムが存在し、シリーズおなじみの「ドラゴンスレイヤー」という武器も用意されています。

ストーリー

はるか昔、深遠な森の中に「ロマンシア」と「アゾルバ」という二つの王国がありました。双方の国王は兄弟で、平和な日々が続いていましたが、ある日、ロマンシアの王女セリナが何者かに連れ去られてしまいます。さらに疫病の蔓延、怪物の出現など、王国に異変が起こります。

そんな中、旅の途中でロマンシアにたどり着いた東方の王子ファン・フレディが、セリナ姫を救う冒険に身を投じます。

登場人物

ファン・フレディ: 本作の主人公。東方のイルスラン王国の王子。
セリナ・レビ・ラウルーラ: 本作のヒロイン。ロマンシア王国の王女。アゾルバ王国に囚われます。
ファネッサ三世: ロマンシア国王。セリナの父。
クリフト四世: アゾルバ国王。ロマンシア国王ファネッサの弟。邪竜ヴァイデスに操られています。
ヴァイデス: 300年前に封印された邪竜。クリフト王を操り、復活を目論みます。

移植版

ファミリーコンピュータ版: アクション要素が強化され、オリジナル版にはないステージやアイテムが追加されています。
Windows版: PC-8801版をベースにしたオリジナル版と、グラフィックとサウンドを一新したアレンジ版が収録されています。アレンジ版では謎解きの答えを表示する機能や、アイテムの効果変更、ヴァイデスのデザイン変更などが行われています。

評価

発売当初は謎解きの理不尽さやセーブができない仕様から、難易度の高さが話題となりました。ファミリーコンピュータ版は、ゲーム雑誌のレビューで難易度の高さが指摘されています。一方、マップやトラップの変更により、既にクリアした人も楽しめるという評価もあります。

関連作品

ソーサリアン: 本作を元にしたシナリオが登場し、ファン・フレディ王子も出演します。
サウンドファンタジーロマンシア: オリジナル音源、オープニング、アレンジバージョン、ソングバージョンを収録した音楽作品。
ロマンシア 浪漫境伝説: ゲームの設定を活かしつつも大胆に翻案したコミカライズ作品。
SOUND MOVIE 浪漫境伝説「ロマンシア」: コミック版のサウンドドラマと、オリジナル楽曲で構成されるドラマCD。
アドベンチャーノベルス ロマンシア: ゲームブック。

『ロマンシア』は、その独特な世界観と高い難易度で、多くのプレイヤーを魅了しました。興味を持たれた方は、ぜひプレイしてみてください。

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