MTT・タービン・スーパーバイク

MTT・タービン・スーパーバイク：航空機用エンジンを搭載した驚異のオートバイ

アメリカ合衆国ルイジアナ州のMarine Turbine Technologies社（以下MTT社）によって開発・製造されたMTT・タービン・スーパーバイク（別名Y2K Turbine SUPERBIKE）は、その名のとおりガスタービンエンジンを搭載したオートバイです。航空機用エンジンを流用したその革新的な設計と圧倒的な性能は、世界中のバイク愛好家を魅了してきました。

圧倒的なパワーと速度

本バイクの心臓部は、ベル206型ヘリコプターにも使用されるロールス・ロイス・ホールディングス社製アリソン250-C18ターボシャフトエンジンです。MTT社はFAA（アメリカ連邦航空局）の基準で使用期限を迎えた中古エンジンを買い取り、改良を加えて搭載しています。軽油を使用するよう改修されたこのエンジンは、最高320英馬力（約238kW）の軸出力を発生し、後輪を2段オートマチックトランスミッションを介して駆動します。

この強力なパワーにより、MTT・タービン・スーパーバイクは最高速度約402km/hを誇り、0-365km/h加速はわずか15秒という驚異的な性能を実現しています。一般的なオートバイに装備されている速度リミッターも備わっておらず、そのポテンシャルの高さは際立っています。大型の排気管からは、ジェット機のような甲高い金属音が響き渡ります。リアビューミラーの代わりにリアビューカメラが搭載され、フロントのLCDモニターに映像が表示されるのも特徴的です。

世界記録と高価格

その圧倒的な性能から、MTT・タービン・スーパーバイクはギネスブックにも「市販されている世界最速のオートバイ」、「世界一高価な市販オートバイ」として掲載されました。アメリカ国内でのメーカー希望小売価格は、2001年当初は15万ドルでしたが、2004年には18万5千ドルにまで高騰しました。

バリエーションモデルと日本での状況

2008年には、最高出力420英馬力のガスタービンエンジンを搭載したバリエーションモデル「MTT・タービン・ストリートファイター」が発表されました。

アメリカではナンバープレートを取得し、公道を走行できますが、日本での登録は不可能です。その理由は、日本の道路運送車両法における騒音規制（近接排気騒音94dB以下、定常走行騒音85dB以下）および消音器装着義務を満たせないためです。85dBという定常走行騒音は、新幹線よりも大きい騒音レベルに相当します。そのため、日本の運輸支局では登録が認められません。

にもかかわらず、日本ではオートバイ専門の町工場が手作りでジェットエンジンやガスタービンエンジン搭載のオートバイを製作した例がいくつか存在します。これらは、個人の趣味の範囲内での製作であり、公道走行を前提としたものではないことが多いです。

まとめ

MTT・タービン・スーパーバイクは、ガスタービンエンジンを搭載した、他に類を見ない高性能オートバイです。その圧倒的なパワーとスピード、そして高価格という特徴は、まさに伝説的な存在感を放っています。しかし、日本の法規制との兼ね合いから、日本で公道を走ることはできません。その姿は、まさに夢のマシンと言えるでしょう。

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