Mac OS X Server 1.0

Mac OS X Server 1.xとは

Mac OS X Server 1.xは、Apple Computer（現Apple）がかつてPower Macintosh G3およびPower Mac G4向けに提供していたオペレーティングシステム（OS）です。1999年に最初のバージョンがリリースされ、サーバー用途に特化した機能を備えていました。

概要

Mac OS X Server 1.0（開発コード名: Rhapsody）は、1999年のMacworld Expo San Franciscoで、Steve Jobsによって発表されました。iMac 50台をNetBootで起動するデモンストレーションが行われ、その高度なネットワーク機能が注目を集めました。当初は1999年2月に出荷予定とされていましたが、実際には米国で3月、日本語版は6月中旬に発売されました。

このOSは、NeXTコンピュータの「OPENSTEP」の技術を基盤としており、BSDベース（Mach 2.5とBSD 4.4準拠）のUNIX互換OSです。これにより、従来のMac OSとは異なる、より安定したシステム環境を提供しました。

アプリケーション環境としては、Cocoaの基盤となったYellow Box（OPENSTEP API）や、BSD/POSIX準拠のAPIを利用できるだけでなく、旧Mac OS実行環境であるBlue Boxも搭載されており、Mac OS 8.5.xやMac OS 8.6といった旧OSのアプリケーションも動作させることができました。ただし、Carbonは実装されていません。Mac OS X Server 1.xは、後のMac OS XベースのMac OS X Server v10.xとは、GUI、カーネル、APIのいずれも互換性がなく、全く異なるシステムとして開発されました。

含まれるサーバー機能とソフトウェア

Mac OS X Server 1.xには、以下のような多様なサーバー機能とソフトウェアが搭載されていました。

Apacheウェブサーバ: ウェブサイトの公開を可能にする。
Appleファイルサービス: macOSクライアントとのファイル共有を実現。
Canna: 日本語入力環境を提供。
FTP: ファイル転送プロトコルによるファイルのやり取り。
NFS: ネットワークファイルシステムによるファイル共有。
Macintosh Manager: ネットワーク上のMacintoshクライアントを管理する。
NetInfo: ネットワーク構成情報を管理するデータベース。
Workspace Manager: ユーザーの作業環境を管理する機能。
NetBoot: ネットワーク経由でのOS起動機能。
QuickTime Streaming Server: QuickTimeコンテンツのストリーミング配信。
Sendmail: 電子メールの送受信を行う。
OmniWeb: ウェブブラウザ。
WebObjects: 動的なウェブアプリケーションの開発プラットフォーム。
UFS: UNIXファイルシステム。
その他: 多様なサーバー機能をサポートするツールやユーティリティが含まれていました。

歴史

1999年3月: Mac OS X Server 1.0が最初のバージョンとして発売。
1999年6月: Mac OS X Server 1.0.1の日本語版がリリース。
2000年3月2日: Mac OS X Server 1.2が発表され、3月16日に発売。
2000年10月23日: Power Mac G4 (Gigabit Ethernet)に対応したMac OS X Server 1.2v3が発売。

関連情報

Rhapsody (オペレーティングシステム): Mac OS X Server 1.xの基盤となったOS。

外部リンク

* アップル、「Mac OS X Server 1.2」を発表

Mac OS X Server 1.xは、その後のMac OS X Serverとは異なる独自のアーキテクチャを持ち、多様なサーバー機能を搭載した先進的なOSでした。旧Mac OS環境との共存や、BSDベースの安定したシステムは、当時のサーバー市場において重要な役割を果たしました。

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