Mark 16 (核爆弾)

Mark 16: 兵器化された初の水素爆弾

Mark 16とは、アメリカ合衆国によって開発された初の兵器化水素爆弾であり、その歴史的な意義から多くの注目を浴びています。この爆弾は、当初実験兵器と呼ばれ、TX-16またはEC-16という名称で知られていました。

この爆弾の設計の基盤は、1952年11月1日のアイビー作戦マイク実験に由来しています。この実験では、核融合燃料として使用される液体重水素が採用されました。液体重水素は極低温で維持する必要があるため、その性質を考慮した設計が求められました。爆弾が航空機に搭載される際に軽量化を実現するため、各部品は軽く作られ、冷却装置は省略されました。その代わりに、液体重水素が蒸発すると保冷タンクから補充される仕組みが取られました。

Mark 16は特に大型であり、その搭載はB-36爆撃機に限られていました。重量は39,000から42,000ポンドの間で、形状は直径61.4インチ、長さ296.7インチの円筒形であり、先端が丸みを帯びています。このサイズはでもあるMark 17とほぼ同じで、多くの技術的な知見が反映されています。

1954年1月、Mark 16は生産と保管の段階に達し、史上初の兵器化された水素爆弾としての地位を確立しました。核出力は6-8メガトンと予測され、わずか5発が生産されたことが記録されています。しかし、Mark 16の実用性には疑問が残りました。液体重水素を使用するため温度管理が必須であり、運用が難しいことが判明したのです。

その後、Mark 16の重要性は新たに開発された乾式水爆、すなわち固形重水素化リチウムを用いたMark 14核爆弾の登場とともに低下していきます。実用性が高まったMark 14が1954年2月に生産を開始すると、Mark 16は次第にその任務を失っていきました。そして1954年4月には、正式に配備から外されることとなりました。

このように、Mark 16はその革新的な設計と歴史的意義では評価されますが、実用性の面ではあまり成功を収めることができませんでした。そのため、短命に終わった兵器の一つとして記憶されることになります。

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