Me 263 (航空機)

メッサーシュミット Me 263

メッサーシュミット Me 263（Messerschmitt Me 263）は、第二次世界大戦末期に開発されたドイツのロケット戦闘機です。この機体は、歴史的なロケット戦闘機であるMe 163コメートの改良型と位置付けられています。機体設計の過程で、降着装置や胴体の構造に大きな変更が加えられており、戦闘機の性能を一段と向上させています。

概要

Me 263は、ロケットエンジンを搭載し、急速な迎撃能力を持つ戦闘機として企画されました。元々のMe 163の橇式降着装置から、前車輪式の油圧引込脚へと進化し、これにより着陸時の安定性が向上しました。また、胴体は真円断面に改良され、空力特性が改善されています。さらに、主翼や尾翼は従来のMe 163Bと同じ形状を維持しつつ、機体全体の統合的な性能を向上させています。

燃料は、過酸化水素水を1,580リットル、水化ヒドラジンを830リットル使用し、これにより航続時間を15分に延ばすことができました。最高速度は約690 km/hに達し、高速な迎撃が可能でした。

Me 163のC型に続いてD型の開発が進められましたが、プロジェクトはリピッシュ技師とメッサーシュミット博士の不仲から停滞し、ユンカース社に製作が移されました。そこでJu 248という名前が付けられ、試作が続けられました。1944年秋に主エンジンHWK-109/509C-1を装備した試作1号機が完成。しかしその後、メッサーシュミット社に戻りMe 263という名称が与えられましたが、最終的には正式な量産型Me 263Aへは至らず、敗戦を迎えることとなりました。

試作機として3機が製造され、これらはアメリカ軍とソ連軍に接収されました。その中の一機はソ連のミグ I-270の原型ともなりました。

スペック

メッサーシュミット Me 263 V1

• - 用途: 迎撃戦闘機
• - 乗員: 1 名
• - 全長: 7.89 m
• - 全幅: 9.50 m
• - 全高: 3.17 m
• - 自重: 2,200 kg
• - 翼面積: 17.80 m²
• - エンジン: ヴァルターHWK509C
• - 推力: 2,000 kg + 補助推力270 kg
• - 最大速度: 960 km/h
• - 上昇限度: 15,500 m
• - 上昇能力: 15,000 m まで3.0分
• - 航続時間: 約15分
• - 航続距離: 125 km
• - 武装: Mk108 30 mm機関砲 × 2

その他情報

1992年に公開されたアメリカ映画『エイセス/大空の誓い』（原題：Aces: Iron Eagle III）には “メッサーシュミット263”という名称の戦闘機が登場しますが、実際に使われているのはスケールド・コンポジッツ社によって開発されたARESという小型のターボファンエンジン機であり、ドイツのMe 263とはまったく異なる機体です。

関連項目

• - メッサーシュミット Me 163

Me 263の開発は多くの困難を伴い、その運用実績は限られているものの、当時の航空技術の進歩を象徴する重要な存在と言えるでしょう。

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