Memories (今井美樹の曲)

今井美樹の通算29枚目のシングル「memories」は、彼女が歌手として活動を開始して25周年を迎えた記念プロジェクトの第一弾として、2011年2月9日にEMIミュージック・ジャパンから発表されました。この作品は、四半世紀にわたるキャリアの節目を彩る重要な一枚です。

特に注目すべきは、表題曲「memories」の制作に、夫である布袋寅泰が作詞、作曲、そして編曲として参加している点です。布袋が今井のシングルの表題曲を手がけるのは、2003年にリリースされた「ホントの気持ち」以来、実に約8年ぶりとなり、二人の音楽的な連携が再び前面に出た形となりました。

この曲の制作背景には、今井の歌手活動25周年という節目に加え、布袋からの特別な思いがありました。布袋は、結婚10周年（実際の結婚年は2010年）というプライベートな記念も重ね合わせ、「ぜひ今井に歌ってほしい曲がある」と自ら申し出たと言われています。単なる楽曲提供に留まらない、深い個人的なメッセージが込められた楽曲であることが伺えます。

楽曲「memories」は、その名の通り「思い出」をテーマにしながらも、過去を懐かしむだけに終わらない内容となっています。これまでの歩みを静かに振り返りつつ、来るべき未来への新たな一歩を踏み出す、門出をイメージさせるような前向きなメッセージが込められたバラードです。長年のキャリアを持つアーティストが、自身の歴史を大切にしながら、それでもなお前進し続ける姿勢を示す、感動的な楽曲に仕上がっています。

シングルには、カップリング曲として「ラストダンスは私に」が収録されています。これは、1961年に越路吹雪が発表し、スタンダードとして親しまれている名曲をカバーしたものです。このカバーバージョンでは、音楽家の大橋トリオが編曲を担当し、さらに楽曲全体の演奏も手がけています。原曲の持つクラシカルな雰囲気を踏襲しつつ、大橋トリオ独特の洗練されたサウンドワークによって、現代的な魅力が加わった仕上がりとなっています。異なる世代とジャンルのアーティストが融合した興味深い作品です。

「memories」シングルには、以下の4トラックが収められています。

memories
作詞・作曲・編曲：布袋寅泰
ラストダンスは私に with 大橋トリオ
日本語詞：岩谷時子
作曲：Doc Pomus & Morn Schuman
編曲：大橋トリオ
memories (Instrumental)
ラストダンスは私に (Instrumental)

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