MiG-1 (航空機)

MiG-1: ソビエト連邦の初代MiG戦闘機

MiG-1（ミグ1）はソビエト連邦で設計された戦闘機であり、アルテム・ミコヤンとミハイル・グレヴィッチによって製作されました。これはMiG名を冠した初の機体であり、航空史において重要な役割を果たしました。

概要

MiG-1の開発は最初、ポリカールポフの設計局で進められていましたが、どちらかと言えば新しい試作設計部門が設立され、ミコヤンがその長となり設計作業が続けられました。1940年4月5日には試作1号機（I-200-1）が初飛行し、5月24日のテストで高度6,900 mに達し、648.5 km/hの速度を記録しました。これを踏まえ、公式な試験が始まる前に国営第1工場での生産が決定されました。

8月29日から始まった公式試験は9月12日に合格し、様々な欠陥が指摘されるものの、生産を続けながら改良が行われていきました。最終的には生産機数が100機に達した頃、MiG-3としてさらなる改良が施された機体へと生産ラインが切り替えられました。

設計

MiG-1の構造は金属資源の節約を考慮し、木材と金属の混合構造が採用されました。胴体前部は鋼管構造で金属製外板が張られ、エンジンとコクピットの間には燃料タンクと武装が配置されています。コクピット後部から垂直尾翼までは木製のセミモノコック構造が採用されており、主に4本のロンジロンと7枚のフレームで支えられています。

胴体

胴体は主に金属製であり、コクピットから尾翼にかけての部分は木製構造となっています。主翼は中央翼と外翼に分かれており、中央翼は全金属製で主桁と補助桁から成り立っています。外翼は全木製で、強化木材であるデルタ材が使用されています。

エンジン

初めは液冷V型12気筒のミクーリン AM-37エンジンが予定されていましたが、間に合わずAM-35Aエンジンが搭載されました。このエンジンはYak-1やLaGG-3に搭載されたクリーモフ M-105Pよりも高出力であり、MiG-1の高速性能に寄与していますが、重量やモーターカノンへの対応において不利な点もありました。

武装

MiG-1はエンジン上部にShKAS 7.62 mm機関銃が2挺、UBS 12.7 mm機関銃が1挺装備され、照準はPBP-1光学照準器によって行われました。この武装構成は後のMiG-3にも引き継がれています。

運用

MiG-1は1940年初頭からソ連空軍に配備が始まり、1941年2月22日までに89機が部隊へ送られました。しかし、同年6月22日にドイツ空軍の飛行場襲撃が始まり、前線にあった機体は多くが損傷を受けました。残存機はMiG-3と共に戦闘に参加しましたが、その戦果については詳細は不明です。少なくとも1機は1944年まで運用され続け、海軍にもごく少数が配属されていました。

運用国

• - ソビエト連邦
• - ソ連空軍
• - ソ連海軍航空隊

派生型

• - Izdeliye 61: 製品61として国営第1工場で呼ばれた
• - I-200: 原型機
• - IP-201: 翼下に23 mm機関砲を搭載する試作機
• - MiG-1: 生産型でAM-35Aエンジンを搭載
• - MiG-1 AM-37: AM-37エンジンを搭載した試験機
• - MiG-3: 改良型

諸元

• - 乗員: 1名
• - 全長: 8.155 m
• - 全高: 3.30 m
• - 全幅: 10.20 m
• - 翼面積: 17.44 m²
• - 空虚重量: 2,411 kg
• - 全備重量: 3,099 kg
• - エンジン: ミクーリン AM-35A 液冷V型12気筒×1
• - 出力: 1,350馬力
• - 最大速度: 628 km/h (高度7,200 m)
• - 航続距離: 560 km
• - 上昇限度: 12,000 m
• - 武装: UBS機関銃 ×1、ShKAS機関銃 ×2

これらの特徴を持つMiG-1は、ソビエト連邦の航空力を示す一翼を担った重要な機体であり、その後のMiGシリーズの礎となりました。

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