MiG-29M (航空機)

MiG-29Mについて

MiG-29M（ミグ29M）は、ロシアのミグ設計局によって開発された戦闘機で、MiG-29の改良型として位置づけられています。NATOのコードネームは「ファルクラムE」。この戦闘機は、通常のMiG-29を基にさらなる性能向上を図り、最新技術を採り入れた機体とされています。

開発の背景

1980年代の半ば、ソ連は前線における防空も兼ねた多目的戦闘機の需要が高まり、MiG-29の改良を始めます。必要とされたのは対地攻撃能力を有する機体でした。この開発は当初は単座型と複座型の両方が計画されましたが、時代と共に軍事戦略が変化したことから、最終的にはいくつかの設計が中止されました。しかし、1986年に初飛行したMiG-29M «9.15»は、その評価を受けて開発が続けられました。

2001年には、MiG-29UBM «9.61»から派生した複座型のMiG-29Mも初飛行し、これによりMiG-29M系列が本格的に加速しましたが、初期の開発段階では国際的な需要がなかなか見込めず、販売は難航しました。しかし、その後の発展により、MiG-35へとつながる基盤を確立しました。

設計と特徴

機体構造

MiG-29M «9.15»は、軽量化を図るためアルミ・リチウム合金が採用され、推力重量比も改善されています。新たに設計された機体には余裕を持たせるための燃料タンクが組み込まれ、さらにエアインテークも進化しました。この設計変更により、機体は従来よりも燃料搭載量の増加が実現されています。

機体のコックピットも改良されており、より視界の良い形状が採用され、アナログ式のフライ・バイ・ワイヤ制御が導入されています。これにより、操縦性が向上し、更なる操作の信頼性を確保できます。

アビオニクス

MiG-29Mでは、最新のデジタル技術を駆使したアビオニクスが搭載されています。特に、4重化されたフライ・バイ・ワイヤシステムは、万が一の故障に対しても高い冗長性を持つため、操縦において安心感を与えます。また、広範囲の情報を処理できる多機能ディスプレイが搭載され、より効率的な情報管理が可能になっています。

兵装と性能

この戦闘機は、左ストレーキング根元に30mm機関砲を装備し、最大7,000kgのペイロードに対応可能なハードポイントを備えています。機体は高高度での最高速度がマッハ2.25に達し、戦闘行動範囲も1,000km以上あるため、様々な作戦に適応できる設計となっています。

エンジンもよりパワフルなRD-33MKを搭載しており、アフターバーナーを使うことで最大88.3kN（約9,000kgf）の推力を発生させることが可能です。このことから、高い飛行性能と運動性を実現しています。

運用国

MiG-29Mを含む一連のMiG-29シリーズは、ロシア空軍を含む多くの国で運用されています。イエメンやインド、エジプトなどが保有国として知られ、各国が自国の条件に合わせた改修を行っている点も注目です。

このように、MiG-29Mはその高性能と多用途性から、兵器としてだけでなく、国際的な軍事市場においても重要な役割を担っています。

もう一度検索