MiG-9 (航空機・初代)

MiG-9 (ミグ9) の概要

MiG-9（ミグ9）は、ソ連における戦闘機開発の一環として位置付けられたレシプロ型戦闘機です。正式にはI-210とも称され、1941年から開発が始まり、1942年には初飛行を果たしました。この機体は、先代のMiG-3戦闘機の設計を基にしており、木材と金属のハイブリッドな構造が特徴です。特に、その装備方法は珍しく、エンジンカウリングの両サイドには、12.7mm機銃（UBS）が装備されており、合計で4丁が取り付けられていました。また、主翼にはロケット弾を装備できる設置具も備えられていました。

技術的特徴

MiG-9は、シュベツォフM-82という空冷式の星型エンジンを1基搭載していました。このエンジンの出力は、離陸時で1700馬力、巡航時には1330馬力に達します。最高速度は地表高度で475 km/h、最大で565 km/hに達することが可能でした。しかし、試験飛行の結果は期待に反するものであり、同じエンジンを使うLa-5戦闘機の生産が優先されることとなったため、量産には至りませんでした。1944年まで、試作機がテストのために使用されていました。

MiG-9の後継として、1943年に登場したMiG-9Ye（I-211またはMiG-9Eと呼ばれる）は、ASh-82Fエンジンを搭載し、670 km/hの速度を発揮する前線戦闘機として設計されましたが、この機体もまたLa-5の実績には及ばず、量産されることはありませんでした。

名称の混乱

一般的に「MiG-9」と呼ばれる場合は、後のジェット機を指すことが多いです。そのため、レシプロ戦闘機のI-210やI-211を明示する際には、区別のために「MiG-9 (Первый)」や開発名称の「IKh」といった表記が用いられることがあります。このような名称の重複は、ソ連の航空機設計においてしばしば見られ、これにより混同が生じることもあります。

スペック

• - 初飛行: 1942年
• - 翼幅: 10.20 m
• - 全長: 8.078 m
• - 全高: 3.50 m
• - 翼面積: 17.44 m²
• - 空虚重量: 2762 kg
• - 離陸重量: 3382 kg
• - 搭載燃料: 360 kg
• - 発動機: シュベツォフ M-82 空冷複列星型14気筒レシプロエンジン ×1
• - 出力（離陸）: 1700 馬力
• - 出力（飛行）: 1330 馬力
• - 最高速度（地表高度）: 475 km/h
• - 最高速度: 565 km/h
• - 実用航続距離: 1070 km
• - 最高上昇率: 896 m/min
• - 実用飛行上限高度: 8700 m
• - 乗員: 1 名
• - 武装: 12.7 mm 機銃 UBS (УБС)（弾数200発）、7.62 mm 機銃 ShKAS (ШКАС)（弾数650発）

運用国

MiG-9は量産されることなく試作段階で終わったため、正式な運用国は存在しません。

参考文献

• - 木村秀政 『万有ガイド・シリーズ 5⃣ 航空機 第二次大戦 II』(小学館、1981年8月)

外部リンク

• - Уголок неба. Микоян, Гуревич МиГ-9 (Первый)
• - Уголок неба. Микоян, Гуревич И-211 (МиГ-9Е)

このように、MiG-9はソ連の航空機製造史において特異な位置を占める試作機であり、航空機技術の進化による教訓や影響を今に伝えています。

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