Microsoft Synthesizer

Microsoft Synthesizerは、DirectXに付属するソフトウェア・シンセサイザーであり、DirectMusicの一部として利用されていました。DirectX 5.0以降に搭載され、DirectX 6.1あたりから本格的に使用されるようになりました。ユーザーが独自の音色に変更することも可能でした。

しかし、Microsoft Synthesizerを利用するためのライブラリは、2007年8月のDirectX SDKのリリースを最後に削除され、現在は利用することができません。

音源について

このシンセサイザーの波形データは、ローランド社からライセンス供与されたものであり、音色配列はローランド社のSC-33相当であると言われています。また、この音源はMicrosoft GS Wavetable SW Synthにも使用されているため、仕様や問題点などはほぼ共通しています。

仕様

名前の通り、ローランド社のGS規格に準拠しており、最大16パート、226音色、8ドラムセット＋1SFXセットを搭載しています。音色ファイルはDLS-1フォーマットで、サンプリング周波数22050Hz、16bit量子化された約3MBのものが、Windowsのシステムフォルダに格納されています。

主な問題点

Microsoft Synthesizerには、いくつかの問題点があります。

リバーブはDirectSoundの環境リバーブと連携しているため、MIDI制作者側から強度を指定できず、パートごとの指定も無視されます。また、LPF、コーラス、ディレイ、イコライザなどのエフェクトも搭載されていません。
GS規格に準拠しているものの、音色の種類が不足しており、一部の音色が省略されたり、エンベロープやピッチ調整で代用されています。
マルチサンプリングが省略されている音色や、フィルターで加工されるべき音が単なるPCM波形になっているものがあり、音の表現力が損なわれています。
GM命令に完全には対応しておらず、一部の命令を正しく解釈しません。
音色データがバージョンアップされず、現代のシンセサイザーと比べると音質が劣ります。しかし、MIDIの欠点である音色互換性を補う役割も果たしています。
Windowsのバージョンによって仕様が異なり、期待通りに音が鳴らない場合があります。
Windows XPで追加された代理発音機能が、Windows Vistaで削除されたため、環境によって一部のパートが鳴らないことがあります。これは、GMリセットを先に送信するか、音色配列外の音色を使わないことで回避できます。
複数のドラムセットを使用すると、ドラムパートが無音になることがあります。
Microsoft GS Wavetable SW Synthでは、ドラムパートで極端に短い間隔でノートオンとノートオフを送信すると音が途切れることがあります。また、XG System ONを送信するとドラムパート以外が無音になることがあります。

類似音源

類似の音源として、ローランド社のVSC-55やSC-33、QuickTimeのMIDI音源（QuickTime Music Synthesizer）などがあります。QuickTime Music Synthesizerは、Microsoft Synthesizerに見られる問題点が改善されていますが、動作には高いCPUパワーを必要とします。一方、Microsoft Synthesizerは、Celeron 300MHz程度の低スペック環境でも動作します。

関連事項

Microsoft GS Wavetable SW Synth
Windows
DirectX
MIDI
Roland
GSフォーマット
QuickTime

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