Microsoft Windows 10 Mobile

Windows 10 Mobile：マイクロソフトのモバイルOSとその歴史

Windows 10 Mobileは、マイクロソフトが開発・提供していたスマートフォンおよび8インチ未満のタブレット向けモバイルオペレーティングシステムです。Windows Phone 8.1の後継として登場し、デスクトップ版Windows 10との高いプラットフォーム統合性を特徴としていました。しかし、2019年12月10日にサポートが終了し、マイクロソフトによる後継OSは提供されていません。

Windows 10との連携とユニバーサルアプリ

Windows 10 Mobileは、Windows 10と共通のユニバーサルWindowsプラットフォーム（UWP）を採用していました。これにより、UWPアプリはWindows 10、Windows 10 Mobile、Windows 10 IoTなど複数のプラットフォームで同一コードで動作可能になり、開発効率の向上が期待されました。既存のWindows Phoneアプリとの後方互換性も確保されていました。

Microsoft OfficeおよびOneDriveとの親和性

Microsoft Office MobileアプリとOneDriveとのシームレスな連携が大きな特徴でした。OneDriveへのデータバックアップ、同期が容易で、PCで編集したOffice文書もスマートフォンで直接閲覧・編集できました。ただし、Continuum for phones機能でWord、Excel、PowerPointの編集機能を使用するにはOffice 365サブスクリプションが必要でした（2016年3月31日まで無料試用期間あり）。Microsoft Windows 10 Mobileのサポート終了に伴い、Office Mobileアプリのサポートも2021年1月12日に終了しました。

Windows Phoneからの機能継承

パーソナルアシスタントCortana（日本語対応）、Wi-Fiセンサー、アクションセンター、ウォレットなど、Windows Phone 8.1からの機能を多く継承していました。さらに、Windows Phone独自の特徴的な入力方法であるカーブフリック入力やワードフロー入力もサポートされていました。デュアルSIM端末では、SIMごとに電話やメッセージのタイルが分かれており、使い分けが容易でした。

エンタープライズ向け機能

高度なセキュリティ機能も備えていました。デバイス暗号化、BitLocker、Credential Guard、Device Guardなど、PC版Windows 10と同等の強力なセキュリティ対策が施され、エンタープライズ環境での利用に適していました。Azure Active Directory（Azure AD）への参加やモバイルデバイス管理（MDM）機能、Dynamic ProvisioningによるBYOD対応などもサポートされていました。Windows Update for BusinessやCurrent Branch for Business（CBB）にも対応しており、企業での運用管理が容易に行えました。

新機能とContinuum for phones

標準アプリはUWPアプリとして刷新され、Windows 10とデザインを統一していました。WebブラウザにはInternet Explorerに代わり、Microsoft Edgeが搭載されました。また、Continuum for phones機能により、HDMIディスプレイやBluetoothキーボードと接続することで、デスクトップPCのようにUWPアプリを使用可能でした。ただし、この機能は特定のプロセッサ（Qualcomm Snapdragon 808、810、617）を搭載したデバイスでのみ利用可能でした。生体認証機能Windows Helloも一部機種で提供されましたが、日本での発売は限定的でした。

エディションとサポート終了

Windows 10 Mobileには、一般向けMobileエディションと企業向けMobile Enterpriseエディションがありました。2019年12月10日にサポートが終了し、その後3ヶ月間は設定やアプリのバックアップ機能が利用可能でした。アップデートはWindows Updateを通じて配信され、通信キャリアやメーカーを介さずに直接マイクロソフトから提供される方式でした。

日本での対応端末

日本で発売されたWindows 10 Mobile端末は、マウスコンピューター、FREETEL、ヤマダ電機、サードウェーブデジノス、トリニティ、geanee、VAIO、acer、日本HPなど、複数のメーカーから提供されていました。

まとめ

Windows 10 Mobileは、Windows 10との統合性、Officeアプリとの連携、堅牢なセキュリティといった魅力的な機能を備えていましたが、市場での浸透には至らず、サポート終了という結果となりました。その歴史は、モバイルOS市場における競争の激しさを示す事例と言えるでしょう。

もう一度検索