Mimi (歌手)

mimi（ミミ）

1951年12月30日生まれ、東京都銀座出身の日本の女性シンガー。かつては本名の宮本典子として活動し、ソウルやファンクを基盤としたパワフルな歌声で知られています。R&Bがまだ日本で浸透していなかった時代からその才能を発揮し、国内外で精力的に活動を続けています。

音楽への目覚めと初期のキャリア

学生時代にソウルミュージックやディスコサウンドに深く魅了されたmimiは、独学でボーカルの基礎を習得しました。まだR&Bが日本の音楽シーンで一般的ではなかった頃、彼女は東京・赤坂にあった伝説的なディスコ「MUGEN」でダンサーとして働いていました。そこで目にしたティナ・ターナーの圧倒的なライブパフォーマンスに衝撃を受け、自身もソウルシンガーとして歌の世界で生きていくことを強く決意します。この経験が、彼女のその後の音楽活動の原点となりました。

バンド活動とプロデビュー

1973年、mimiは新たに結成されたバンド「スリー・チアーズ&コングラッチュレーション」にメインボーカリストとして参加しました。このバンドには、後にタレントとしても活躍するグッチ裕三（ボーカル）や、個性的なキャラクターで知られたウガンダ・トラ（ドラム）らがメンバーとして名を連ねていました。彼らはグラハム・セントラル・ステーションやルーファスといった当時の人気ファンクバンドの楽曲を積極的に取り上げ、日本人による本格的なファンク・ソウルバンドとして、多くの音楽ファンの注目を集めました。日本の音楽シーンにおいて、ファンクというジャンルが確立される前の時代に、彼らの活動は極めて先進的でした。

バンドでの活動と並行して、mimiは更なる可能性を模索します。一時は大手レコードメーカーからの契約オファーがありましたが、自身の追求する音楽の方向性とメーカー側の意向との間に隔たりを感じ、この話は見送られることになります。安易な妥協をせず、自らの音楽性を追求する姿勢は、この頃から一貫していました。

プロシンガーとしての確固たるキャリアを築く転機が訪れたのは1977年です。日本ジャズ界を代表するベーシストであり、革新的なサウンドを追求していた鈴木勲氏にその歌唱力と才能を見出され、彼の率いるバンド「ソウル・ファミリー」に加入します。同年夏には、日比谷野外音楽堂と並ぶ国内有数のライブ会場であった田園コロシアムで開催されたジャズ・フェスティバルにソウル・ファミリーの一員として出演。大舞台での堂々たるパフォーマンスを披露し、プロシンガーとして華々しいデビューを飾りました。

レコーディング活動と評価

田園コロシアムでの鮮烈なデビューを経て、翌1978年には鈴木勲氏とのコラボレーションアルバム『PUSH』でユピテルレコードより正式にレコーディングデビューを果たします。このアルバムは、彼女のパワフルで情感豊かなボーカルと、鈴木勲氏による洗練されたサウンドが見事に融合した作品として、高い評価を受けました。その後、トリオレコードに移籍し、宮本典子名義で立て続けにシングルやアルバムを発表。日本の音楽シーンにおけるソウル・ファンクシンガーとしての地位を確立していきます。

1980年3月には、 internationally recognised major music festival event held in Tokyo, the 9th Tokyo Music Festivalに出場。シングル曲「ラスト・トレイン」を歌唱し、外国人審査員団賞を受賞するという栄誉に輝きました。これは、彼女の歌唱力が国際的なレベルでも通用することを証明する出来事でした。

アメリカでの挑戦と更なる飛躍

1990年、mimiは更なる音楽的成長を求め、単身アメリカ合衆国へと渡ります。以前日本で交流のあったR&Bシンガー、グロリア・ジョーンズ氏の元を訪ねた後、活動の拠点をアメリカ西海岸に移しました。本場アメリカの音楽シーンに飛び込んだ彼女は、グラハム・セントラル・ステーション、ザ・ブラザーズ・ジョンソン、サイド・エフェクトといった伝説的なバンドや、俳優エディ・マーフィーが率いたバンド「サイケデリック・ソウル」など、錚々たるミュージシャンやバンドとの共演、参加を重ねます。厳しい競争の中で、長年にわたり目指してきた本格的なソウルシンガーとしての実力を磨き上げ、その夢を実現させました。

アメリカでの経験を経て、1999年には再びmimi名義でのソロ活動を開始。アルバム『Joy Love Happiness』を発表し、2001年にはセルフタイトル作『mimi』をリリースするなど、コンスタントに作品を発表し続けます。

また、過去の宮本典子名義の作品への再評価も進み、2013年2月20日には1978年のデビューミニアルバム『PUSH』が初めてCD化されました。さらに2022年8月12日には、同作のLPレコードとCDが新たに再発売されるなど、旧来からのファンだけでなく、若い世代の音楽リスナーからも注目を集めています。

現在の活動

現在もロサンゼルスを拠点に活動しており、全米各地でのツアーやライブに参加する一方、日本での公演も積極的に行っています。円熟味を増した唯一無二のソウルフルな歌声で、今なお多くの人々を魅了し続けています。日本の音楽シーンにおけるソウル・R&Bのパイオニアの一人として、その功績は色褪せることがありません。

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