Mk.51 射撃指揮装置

Mk.51 射撃指揮装置

Mk.51射撃指揮装置（英語: Mark 51 Fire Control System, Mk.51 FCS）は、アメリカ海軍によって開発された艦砲用の射撃指揮装置である。この装置は比較的簡素で、一人による操作が可能な設計であり、主にボフォース 40mm機関砲や3インチ緩射砲などで使用された。

開発の背景

Mk.51の開発は1940年に始まり、その目的は高速で接近する航空機に対して、近距離での即応性を重視したシステムを提供することだった。基本的な設計には、照準器Mk.14が用いられ、これに銃や砲の制御機能が追加されている。 Mk.14は、ジャイロスコープを内蔵しており、移動する目標を目視で追尾しながら、相対的な角速度を検出することができる。複雑な光学系とリンケージ機構により、見越し角の自動算出が実現している。

この照準器は、小口径機銃では直接銃架に取り付けられ、その一方で40mm機銃のような中口径砲では方位盤に取り付けられ、遠隔制御を行う形態がとられた。この方位盤を含む一連のシステムがMk.51と呼ばれるもので、時には単に方位盤Mk.51（英: Director Mk.51）とも言われることがある。Mk.51は、大体の的速350ノット（約650 km/h）に対応し、見越し角を最大25度まで調整可能であった。

システムの特性

Mk.51は、比較的シンプルな設計のおかげで迅速に開発が進み、1940年の10月には2,500台の発注が行われ、最終的には14,000台以上が生産される人気のある装置となった。この装置を構成する角速度式システムは、照準器の向きと視線の向きとのオフセットの問題から、斜視式（disturbed-line-of-sight systems）と称されることもあった。

水上射撃の際には、照準器Mk.14ではなく、光学測距儀と射撃盤Mk.6を使用して見越し角を算出する方法が取られていた。これにより、より正確な射撃が可能となった。

改良と発展

Mk.51 mod.3は照準器がMk.15に更新され、風力修正装置も追加されるなどの改良が施されたが、対空射撃においては曳光弾を用いて目視・手動で射撃修正を行う必要があり、性能には限界があった。これを受けて、Mk.51を元にした発展型として、Mk.52が実用化され、Sバンド（3ギガヘルツ）のMk.26測距レーダーを装備し、より精密な弾道修正機能を持つようになった。また、より高度なレーダー射撃管制装置としてMk.63も開発され、さらなる性能向上が図られた。

参考文献

• - Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629.
• - 北村謙一「艦艇用FCS草創期の思い出」『世界の艦船』第493号、海人社、1995年3月、76-79頁。
• - 坂田秀雄「海上自衛隊FCSの歩み」『世界の艦船』第493号、海人社、1995年3月、70-75頁。

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