Mk.63 砲射撃指揮装置

Mk.63 砲射撃指揮装置（Mk.63 Gun Fire Control System）

Mk.63 砲射撃指揮装置は、アメリカ海軍が開発した艦砲専用の高度な射撃指揮システムです。これにより、艦船はより迅速かつ正確に目標を捕捉し、射撃することが可能になります。従来のMk.51型射撃指揮装置では目視による操作が中心であり、対空戦闘における対応力には限界がありました。この課題を解決するために、Mk.63は特に特攻対策を重視して設計されました。

開発にあたって、アメリカ海軍武器局は、敵の回避行動に対応できるよう、最大で4,000ヤード（約3,700メートル）以内の目標に対して盲目での射撃を可能にする高精度の能力を実現しようとしました。その核心には、Mk.15照準器が置かれ、その後改良されたMk.29照準器が採用され、レーダーを装備することで目標の追尾精度を向上させました。特にレーダーは、最初にSバンドのMk.28が用いられ、後にXバンドのMk.34が導入されましたが、目標捕捉の難しさ改善するために、ノッティング機構が実装され、ビーム幅を適切に調整する工夫がされました。

1944年6月に行われた初試験を経て、同年11月には航空母艦への搭載が始まり、沖縄戦においては実戦投入がなされました。そして1953年には、さらなる性能向上がなされ、電子機器の改良に伴い、Mk.34からAN/SPG-34に名称が変更されました。この新しい名称のもとで、目標捕捉能力が飛躍的に向上したため、従来のノッティング機構は不要となり、代わりに円錐走査方式による迅速な目標追尾が可能となりました。

1956年に登場したAN/SPG-50レーダーは、より高い周波数を使用し、パルス幅を狭め、リピート周波数を上げる改良が施され、さらなる正確性と対応力の向上が図られました。また、噂されたMk.57型もMk.63と同様のAN/SPG-34レーダーを採用しながら、光学系をシンプル化することで、使用しやすさが増しました。これは、観測者がレーダー・スコープ上で手動で目標を追尾する設計となり、艦内に設置されたコンピュータが射撃諸元を計算し支援しました。

さらに、Mk.63を基にKuバンドのAN/SPG-52レーダーを使ったMk.70型も開発されるなど、Mk.63はその後の艦砲射撃指揮装置の基礎となりました。

以上のように、Mk.63 砲射撃指揮装置は、アメリカ海軍の艦砲運用において革新をもたらし、さまざまな改良と派生型を生むことでその役割を深化させてきました。その正確性と効率性は、現代の海上戦闘において不可欠な要素となっています。

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