Kuバンド

Kuバンドについて

Kuバンドは、電磁スペクトルのマイクロ波領域において、12GHzから18GHzの周波数帯を指します。この名称は、NATOのKバンドよりも低い周波数帯であることから「K-under」に由来します。Kバンドの中央には大気中の水蒸気による共鳴ピークが存在し、長距離伝送を妨げるため、Ku、K、Kaの3つの帯域に分割されました。

Kuバンドの利用

Kuバンドは、主に以下の用途で利用されています。

衛星通信: 特に、放送衛星からのダウンリンクや、スペースシャトル、国際宇宙ステーションとの通信に使われます。また、遠隔地からのテレビ中継のバックホールにも利用されます。
レーダー: 自動車のスピード違反取締りに使用されるレーダーガンにも、Kuバンドの一部周波数が使われています。

各地域におけるKuバンドの利用

Kuバンドの周波数割り当ては、地域によって異なっています。

アメリカ

北米および南米の大部分は、ITUの第2地域に属しており、FSS（固定衛星業務）には11.7-12.2GHz、アップリンクには14.0-14.5GHzが割り当てられています。また、BSS（放送衛星業務）には12.2-12.7GHzの帯域が割り当てられています。

ヨーロッパ・アフリカ

ヨーロッパ・アフリカは、ITUの第1地域に属しており、FSSには11.45-11.7GHzおよび12.5-12.75GHz、アップリンクには14.0-14.5GHzが割り当てられています。また、BSSには11.7-12.5GHzが割り当てられています。

オーストラリア

オーストラリアは、ITUの第3地域に属しており、ダウンリンクには11.70-12.75GHz、アップリンクには14.0-14.5GHzの周波数帯が使用されています。

インドネシア

インドネシアは、降雨量の多い地域（ITU地域P）に分類されており、Kuバンドの利用における降雨減衰が懸念されています。しかし、適切なリンクバジェットと高出力送信により、この問題は軽減できます。インドネシアでは、Kuバンドに加え、Kaバンドを利用した衛星も運用されています。

Kuバンドの利点

高い送信電力: Cバンドと比較して、地上マイクロ波システムとの干渉を避けるための出力制限が少なく、より高い送信電力が可能です。
小型アンテナ: 高い送信電力により、小型のアンテナでも受信が可能です。
柔軟性: アンテナの小型化と設置の自由度から、より柔軟なシステム構築が可能です。
雨による減衰の影響が少ない: Kaバンドに比べて、雨による減衰の影響を受けにくいです。

Kuバンドの欠点

雨による減衰: 大雨時には、降雨減衰（レインフェード）と呼ばれる減衰が顕著になります。この問題を緩和するためには、高出力送信と適切なリンクバジェットが必要です。
雪による減衰: アンテナに雪や氷が付着すると、焦点がずれ、受信性能が低下する場合があります（スノーフェード）。
正確な位置制御: Cバンドに比べ、より正確なアンテナ位置制御が必要です。

まとめ

Kuバンドは、その高い周波数と柔軟性から、衛星通信やレーダーなど多くの分野で活用されています。一方、降雨減衰や正確なアンテナ制御など、克服すべき課題もあります。これらの特性を理解し、適切なシステム設計を行うことで、Kuバンドはより有効に活用されるでしょう。

参考資料

Frequency allocation information, mostly for U.S.
* Spectrum allocation chart

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