Mk50 (魚雷)

Mk.50 短魚雷：アメリカ海軍の対潜兵器

Mk.50は、アメリカ海軍が開発した短魚雷であり、Mk.46の後継として1992年から実戦配備されています。1970年代、アメリカ海軍はMk.46魚雷を航空機搭載用およびアスロック対潜ミサイルの弾頭として使用していました。しかし、当時のソ連海軍が運用していたアルファ型原子力潜水艦のような高速潜水艦に対しては、Mk.46の速度性能では不十分であり、より高速かつ深深度での運用が可能な新型魚雷の開発が求められました。

開発の経緯

このような背景から、1983年より発達型短魚雷（ALWT：advanced lightweight torpedo）としてMk.50の開発が開始されました。そして、1992年に開発が完了し、実戦配備されることとなりました。

特徴

Mk.50の外観は、円筒状の胴体に4枚のフィンを備えた標準的な形状をしています。しかし、その内部には革新的な技術が搭載されています。

推進システム：

Mk.50の最大の特徴は、保管化学エネルギー推進システム（SCEPS：Stored Chemical Energy Propulsion System）と呼ばれる閉サイクル蒸気タービンエンジンを採用している点です。このシステムは、液体金属燃料であるリチウムと六フッ化硫黄を燃焼させることで推進力を得ます。閉サイクルであるため、燃焼による排気を魚雷外部に排出する必要がありません。深海では水圧が高く排気が困難であるため、このシステムは深海での作戦において非常に有効です。

弾頭：

Mk.50の弾頭にはHEAT（High-Explosive Anti-Tank）弾が採用されています。これにより、潜水艦の強固な耐圧殻を破壊することが可能です。

性能

Mk.50は、高い速力と深深度での運用能力により、当時の最新鋭潜水艦に対しても有効な攻撃手段となりました。また、誘導システムも改良されており、目標捕捉能力も向上しています。

派生型

Mk.50は高性能である反面、非常に高価であるという欠点がありました。そのため、Mk.46のエンジンとMk.50の弾頭を組み合わせた、より安価なMk.54も開発・配備されています。

諸外国の類似兵器

海上自衛隊が採用した97式魚雷も、Mk.50と同程度の性能を有すると言われています。これらの魚雷は、各国の海軍における対潜戦能力の重要な要素となっています。

Mk.50は、アメリカ海軍の対潜戦力の中核を担う重要な兵器であり、その技術は後の魚雷開発にも大きな影響を与えました。

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