Mr.カラー

Mr.カラー（ミスターカラー）

Mr.カラーは、GSIクレオスが製造・販売しているプラモデル用の塗料シリーズです。これは同社のモデル部門、すなわちMR.HOBBYブランドの主力製品にあたります。この塗料は、藤倉化成によって製造されており、溶剤系アクリル樹脂塗料として分類されます。

概要

Mr.カラーは、もともとアメリカの模型メーカーであるレベル社の製品を日本の気候に適応させるために、1973年にグンゼ産業（現・GSIクレオス）と藤倉化成が共同で開発したものです。開発当初は「レベルカラー」と呼ばれていましたが、1977年にレベル社との提携が解消されたため、名称がMr.カラーに変更されました。この塗料は、プラモデル用として販売されていた他社製品に比べて、調色済みの専用色が多く、特に航空機モデルにおいて主要な色が充実していることから、需要が高まりました。

提携解消後、タカラがレベルの代理店として同様の塗料を発売しましたが、1985年にタカラも模型事業から撤退し、その後はMr.カラーが日本国内の模型用塗料として広く普及しています。また、同じ時期には他の企業からも類似の塗料が登場し、競争が激化しました。

性質と適用

Mr.カラーは、非水溶性の有機溶剤を基材に持つアクリル樹脂塗料で、溶剤の蒸発によって強力な塗膜が形成されます。主にプラスチックや木製、金属製の模型への塗装に使用されますが、ABS樹脂やポリカーボネートには適しません。特にABS樹脂には塗装しない方が良く、接触することで脆弱化や亀裂が発生することがあります。このような特性から、下地にプライマーを使用することが推奨されます。

Mr.カラーは、1980年末に瓶容量を変更し、持ちやすい蓋のデザインが採用され、その後長らくそのスタイルが続きました。しかし、2008年以降は蓋のデザインが変更され、今ではより使いやすいタイプの蓋になっています。古い瓶でも現行の蓋が使用できるため、長年のユーザーにも配慮されています。

塗装技法とラインナップ

エアブラシでの塗装が一般的ですが、筆塗りも可能です。ただし、筆塗りを行う場合は、粘度が影響し厚塗りになりやすいため、「Mr.リターダマイルド」などの助剤を使用することで作業性を向上させることができます。塗料のラインナップは豊富で、航空機や車両模型に対応した色が多く揃っているため、、多くの模型メーカーの製品によって色名が指定されています。

多様な色数

Mr.カラーは100色以上の色数を誇っており、特に航空機模型用の色が豊富です。また、特殊な色や用途別の色セットも取り揃えているため、模型製作において多様なニーズに応えることができます。加えて、スプレータイプの塗料も70色以上展開されています。

競合製品と比較

水性塗料に移行する流れが進む中で、初心者や共同住宅に住む方々に向けてより安全な選択肢として「水性ホビーカラー」や「アクリジョン」が推奨されることが多くなっています。このため、現在ではMr.カラーを指定することは少なくなり、代替品の使用が一般的になっています。

まとめ

Mr.カラーは、模型製作愛好者やプロフェッショナルにとって、その優れた品質と幅広いカラーバリエーションから重宝されています。その柔軟な使用法と多くの製品との互換性により、今後も長らく愛される存在であり続けることが期待されます。

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