Mruby

mruby（エムルビー）は、組み込みシステムでの利用を想定して開発された軽量なRuby言語処理系です。Rubyの開発者である、まつもとゆきひろ氏がプロジェクトリーダーを務め、100名を超える開発者がプロジェクトに貢献しています。

機能

mrubyは、バージョン1.0の時点でRuby 2.1のコアAPIをサポートしていますが、標準ライブラリは含まれていません。そのため、mrubyはRubyの基本的な構文や機能を提供しつつも、組み込みシステムなどリソースに制約のある環境での利用に適した設計となっています。

また、mrubyの大きな特徴の一つとして、C言語やC++への組み込みが容易であることが挙げられます。Luaのように、C/C++のアプリケーションにmrubyを組み込んでスクリプト言語として利用することができます。これにより、システムの柔軟性を高め、開発効率を向上させることが期待できます。

mrubyは、国際標準規格「ISO/IEC 30170:2012」に準拠することを目標としています。これは、mrubyが国際的な基準を満たす、高品質なソフトウェアであることを意味します。

利用例

C言語からのmrubyの呼び出し

mrubyは、C言語のプログラムから簡単に利用できます。例えば、`example.c`というC言語のファイルでmrubyを利用する場合、以下のコマンドでコンパイルと実行を行うことができます。

bash
$ cc example.c -lmruby -lm -o example
$ ./example


この例では、`cc`コマンドで`example.c`をコンパイルし、mrubyライブラリ（`-lmruby`）と数学ライブラリ（`-lm`）をリンクしています。生成された`example`という実行ファイルを起動することで、mrubyがCプログラムの中で実行されます。

プリコンパイルされたバイトコード

mrubyには、mrubyバイトコードを実行するための軽量な仮想機械が組み込まれています。これにより、Rubyコードを事前にコンパイルし、バイトコード形式で実行することが可能です。例えば、`test.rb`というRubyファイルがある場合、以下のコマンドでコンパイルできます。

bash
$ mrbc test.rb


このコマンドを実行すると、`test.mrb`という名前のmrubyバイトコードファイルが生成されます。このファイルをmrubyインタプリタで実行するには、以下のように`-b`オプションを使用します。

bash
$ mruby -b test.mrb


このように、mrubyはRubyコードを直接実行するだけでなく、バイトコード形式で実行することで、より効率的な動作を実現しています。

脚注

mrubyは、その軽量性、組み込みやすさから、組み込みシステムだけでなく、ゲーム開発やWebアプリケーション開発など、様々な分野での応用が期待されています。また、オープンソースプロジェクトであるため、誰でも自由に利用、開発に参加できます。

関連項目

Ruby

外部リンク

公式ウェブサイト
mruby - GitHub
軽量Rubyフォーラム - まつもとゆきひろ氏が理事長を務めるmrubyのNPO

mrubyは、軽量かつ柔軟なRuby処理系として、組み込みシステムの開発に新たな可能性をもたらしています。

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