Music Studio

Music Studioは、かつてFrieveによって開発されていたDAW（デジタルオーディオワークステーション）ソフトウェアのシリーズ名です。このシリーズには、フリーウェアの「Music Studio Producer」、シェアウェアの「Music Studio Standard」、そして同じくシェアウェアの「Music Studio Independence」という3つのバージョンが存在しました。

特筆すべきは、その高い性能と手頃な価格設定です。「Producer」はフリーウェアとして提供され、上位版である「Standard」と「Independence」もそれぞれ2000円、3500円という低価格で利用可能でした。また、シェアウェア版であっても、ネットワークアップロード以外の全ての機能を無制限に使用できるという特徴がありました。これは、ユーザーがソフトウェアの機能を十分に試せるという点で非常に魅力的でした。なお、現在でも「Standard」と「Independence」を使用するための送金手続きは可能です。

概要

Music Studioは、その先進的な機能と技術で、当時のDAWソフトウェア業界において一線を画していました。MIDIデータとオーディオデータをシームレスに扱えるのはもちろんのこと、192kHzまでのハイサンプリングに対応し、さらにほぼ全ての信号処理を64bit浮動小数点数で行うことで、非常に高い音質を実現していました。また、ASIO（Audio Stream Input/Output）にも対応しており、低レイテンシーでのオーディオ処理が可能でした。

プラグインに関しては、VST、VSTi、DX、DXiといった一般的な形式に加え、独自規格であるAEPにも対応していました。特にAEP形式では、多数のエフェクターやソフトウェア音源がプリインストールされており、導入した時点ですぐに多様なサウンドメイキングを始めることができました。オーディオ処理においては、オートメーション機能が搭載されており、時間経過によるパラメータ変化を細かく制御することが可能でした。さらに、サラウンドミキシングや最大64チャンネルのオーディオ同時録音といった高度な機能も実装されており、プロの現場でも十分通用するポテンシャルを秘めていました。

しかしながら、Music Studioにはいくつかの課題も存在しました。特に、VSTプラグインやASIOドライバとの相性が悪く、安定性に欠ける場面がありました。この点が、Music Studioの評価を二分する要因の一つとなっていたことは否めません。それでもなお、その優れた機能と低価格は、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢でした。

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