NかMか

『NかMか』

概要

『NかMか』（原題：N or M?）は、アガサ・クリスティによって1941年に発表された長編推理小説です。この作品は、アメリカのドッド・ミード&カンパニーからの出版を皮切りに、同年11月にはイギリスのコリンズ・クライム・クラブからもリリースされました。販売価格はアメリカでは2ドル、イギリスでは7シリング6ペンスでした。作品の原題は、聖公会祈祷書の中の「汝のクリスチャンネームは何か。NかMで答えよ。」という文に由来しています。また、この小説は『秘密機関』や『おしどり探偵』に続くトミーとタペンスを主人公とするシリーズの一部です。

あらすじ

物語の舞台は、第二次世界大戦が始まった1940年です。情報局の関係者が「NかM。ソング・スージー。」という言葉を残して亡くなります。この時期、子供たちも戦時中の奉仕活動に参加するようになっていましたが、ベレスフォード夫妻は暇を持て余していました。タペンスに指名された情報局の職員グラントが彼らを訪れると、彼はタペンスを追い出し、トミーにナチスの大物スパイである「NかM」の正体を明らかにするよう指示します。

トミーは偽名を使って捜査を始めるものの、予想外なことにタペンスが先回りして同じゲストハウス「無憂荘」に隠れているのを発見します。夫妻は互いに正体を隠して、トミーが「男漁りをする未亡人」、タペンスが「その餌食となるかわいそうな男」を演じることにします。

主な登場人物

• - トミー・ベレスフォード: 本小説の主人公。戦時中の奉仕活動中に、情報局からの依頼を受けてゲストハウスに来ている。
• - タペンス・ベレスフォード: トミーの妻で、彼に内緒で先回りし、偽名を使って同じゲストハウスに潜入している。
• - デリク・ベレスフォード: トミーとタペンスの息子で、空軍に入隊中。
• - デボラ・ベレスフォード: デリクの双子の妹。軍の暗号課で活動している。
• - グラント: 軍需省の職員で、トミーに極秘任務を依頼するために訪れる。
• - アルバート: 夫妻の探偵事務所での事務係。
• - ペレナ夫人: ゲストハウス「無憂荘」の女主人。
• - シーラ・ペレナ: ペレナ夫人の娘。
• - カール・フォン・ダイニム: ドイツからの亡命者で「無憂荘」の客。
• - スプロット夫人: 「無憂荘」の客。
• - オルーアク夫人など、他にも多くのキャラクターが物語を彩ります。

映像化

本作は、2015年にイギリスのBBCで放送されたテレビシリーズ『トミーとタペンス -2人で探偵を-』の第4〜6話で映像化されています。日本でも同年にNHKで放送されました。

このように『NかMか』は、緊迫した戦時下におけるトミーとタペンスの活躍を描いた作品であり、興味深いキャラクターたちが交錯する謎解きの旅を提供します。

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