N.O.

電気グルーヴ「N.O.」：異端のスマッシュヒット

「N.O.」は、日本の音楽ユニット、電気グルーヴが1994年にリリースしたシングル。アルバム『VITAMIN』からのリカットとして発売され、電気グルーヴにとって初期の代表曲の一つとなりました。作詞・作曲は石野卓球が担当し、セルフプロデュースで制作されています。

生まれ変わりと葛藤

この楽曲のルーツは、電気グルーヴがインディーズ時代に発表したアルバム『662 BPM BY DG』に収録されていた「無能の人 (LESS THAN ZERO)」。メジャーデビュー後もファンからのリメイク要望が根強くありましたが、石野自身は、当時表現したかった音楽性との隔たりを感じていました。

レコード会社側の意向でアルバムに収録されることになったものの、石野は過去の楽曲であること、そして表現したい音とのずれから、収録に強く抵抗。最終的には、アルバムのボーナストラックのような形で収録されることになりました。タイトルも、仮タイトルの「N.O.」のままリリースされています。

サウンドと歌詞

トラックは「完全居酒屋対応チューン」をコンセプトに制作されました。歌詞は、電気グルーヴの前身バンドである人生が解散した当時の石野の心情を歌ったもので、一部歌詞が書き直されています。

曲中には、石野が敬愛するイギリスのユニット、ポップ・ウィル・イート・イットセルフの楽曲からサンプリングしたフレーズが使用されています。このサンプリングは、さらに元をたどるとベル・エポックの楽曲に由来しており、電気グルーヴによる引用は「孫引き」にあたります。

アートワークとチャート

シングル盤のジャケットは、メンバーの顔写真と別人の身体を組み合わせたユニークなデザイン。また、このシングルから、電気グルーヴのロゴが新しいデザインに変更されました。

オリコンシングルチャートでは最高位21位を記録。石野自身はリリースの経緯に否定的でしたが、ラジオでのオンエアなどを通じてヒットし、電気グルーヴにとって初期のスマッシュヒットとなりました。

ライブパフォーマンスとメディアでの使用

テレビ出演時には、ピエール瀧が楽曲の担当パート以外で、様々なパフォーマンスを披露。おもちゃのギターを振り回したり、ニワトリを追いかけたり、轆轤（ろくろ）を回したりと、奇抜なパフォーマンスで視聴者を沸かせました。

また、ゲームソフト『桃太郎電鉄HAPPY』では、電気グルーヴをモチーフにしたバンドが登場し、「N.O.」に似た楽曲が使用されています。

別バージョンとカバー

シングルには、ケン・イシイによるリミックスバージョンが収録されています。また、トリビュートアルバムでは、衛藤利恵によるドイツ語カバーバージョンなどが収録されています。

「N.O.」は、電気グルーヴにとって複雑な経緯を持つ楽曲ですが、その異質さこそが、多くのファンを魅了する要因となっています。ライブでの盛り上がりはもちろん、様々なアーティストによるカバーなど、現在もその影響力は衰えていません。

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