N2102V

NEC N2102V：FOMA時代のコンパクトテレビ電話機

2003年7月、NECから発売されたN2102Vは、NTTドコモの第三世代携帯電話サービス「FOMA」に対応した端末です。当時としては非常にコンパクトなボディでありながら、テレビ電話機能を搭載した点が大きな特徴でした。FOMA端末としては初めてカラー液晶サブディスプレイを採用したモデルでもあり、高い注目を集めました。

小型ボディに凝縮された機能性

N2102Vの最大の魅力は、そのコンパクトなサイズとテレビ電話機能の両立です。それまでのFOMA端末は、テレビ電話機能を搭載するとどうしても大きくなってしまいがちでしたが、N2102Vは最小クラスのサイズを実現しました。これは、ソフトウェア処理によるテレビ電話機能の実装やRAMの増量といった工夫による成果と言えるでしょう。

機能面では、先代機種であるN2701とほぼ同じソフトウェアを採用しつつ、テレビ電話機能を追加。メインカメラの画素数も31万画素から32万画素へとわずかながら向上しています。また、N2051、N2701から継承された直感的な操作インターフェース「ニューロポインター」も搭載。さらに、FOMA端末向けSSLクライアント認証サービス「FirstPass」にも対応するなど、セキュリティ面も強化されています。

音声コーデックにはAAC方式に対応し、高音質な音声通話を実現。ボタン操作部の照明には緑色のLEDを採用しており、カラーバリエーションごとに照光方法が異なっていました。着信メロディの自作にも対応しているなど、ユーザーの利便性も考慮された設計となっています。

デザインとカラーバリエーション

N2102Vは、シルバー／ブラック、ライトシルバー、ブルーの3色のカラーバリエーションが用意されました。各カラーによってボタン部の意匠や照光方法が異なるなど、細部にもこだわったデザインとなっています。このカラーバリエーションによるデザインの差別化は、N2051から引き継がれた特徴と言えるでしょう。電池パックはリアカバーと一体型で、N2102V専用のN05というオプション電池パックも用意されていました。卓上ホルダもN2051/N2701とは互換性がなく、N03という新しいモデルが用意されました。

搭載アプリとメロディー

N2102Vには、いくつかのiアプリがプリインストールされていました。カードゲームを楽しめる「ZONE BALANCE」や、撮影した写真をカレンダーの背景にできる「フォ撮ってカレンダー」などが含まれており、ユーザーは多様なコンテンツを楽しむことができました。

また、内蔵メロディーも豊富に用意されていました。「Axel F」や「Over The Rainbow」といった定番曲からクラシック音楽まで、幅広いジャンルの楽曲がプリインストールされており、ユーザーは自分の好みに合わせて着信音を選択することができました。効果音も多彩で、「黒電話」「You've got mail」といったユニークな効果音も用意されていました。

バグとサポート終了

発売後、電卓機能にいくつかのバグが発見され、機種交換対応が行われたという記録が残っています。具体的には、8桁を超える計算やクリアキーの使用による誤計算が発生するというものでした。また、2010年には電池パックの提供が終了しています。

まとめ

N2102Vは、コンパクトなボディと充実の機能を両立させたFOMA端末として、多くのユーザーに支持されました。テレビ電話機能やニューロポインター、豊富なプリインストールコンテンツなど、当時としては先進的な機能を備えていたことが、その人気の理由と言えるでしょう。発売から時間が経過しているため、現在はサポートが終了していますが、FOMA時代を象徴する機種として、その歴史的価値は高いと言えるでしょう。

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