NACSIS-CAT

NACSIS-CAT：日本最大の学術情報データベース

NACSIS-CATは、[国立情報学研究所]が提供する、日本最大規模の学術情報データベースです。大学図書館を中心に1200を超える機関が参加し、膨大な図書・雑誌の書誌情報と所蔵情報を共有する、共同利用システムとして機能しています。本記事では、NACSIS-CATの歴史、構造、利用方法、関連サービス、そして課題について詳細に解説します。

1. NACSIS-CATの歴史

NACSIS-CATは1985年、東京大学文献情報センターによって運用が開始されました。その後、学術情報センター(NACSISの前身)の発足を経て、1988年に現在の名称が正式に採用されました。1988年には所蔵レコード数が100万件を突破するなど、順調に成長を遂げています。

1992年には短期大学・高等専門学校、翌年には大学以外の図書館も参加可能となり、利用範囲が拡大。1997年にはWeb検索が可能なNACSIS Webcatが試験運用を開始、さらに和書・洋書に分かれていたデータベースが統合されました。同年に新システム「NACSIS-CAT 2」(2007年移行完了)が導入され、システム性能の大幅な向上が図られました。2002年には、高度な検索機能を備えたWebcat Plusが試行サービスを開始し、2005年に正式サービスに移行しました。Webcat Plusは2024年3月でサービスを終了し、後継サービスとしてCiNii Booksが利用されています。

2008年には、図書・雑誌合わせて1億件の所蔵レコードを達成するなど、データ量の増加は著しいものの、レコードの品質や参加機関間のデータ作成量に偏りがあることも課題として指摘されています。

2. NACSIS-CATの構造

NACSIS-CATは、膨大な量の書誌情報と所蔵情報を収録しています。具体的には、1000万件を超える図書書誌レコード、1億件を超える図書所蔵レコード、30万件を超える雑誌書誌レコード、400万件を超える雑誌所蔵レコードなどが含まれます。さらに、著者名典拠レコード、統一書名レコードなども収録され、詳細な検索を可能にしています。

データの標準化のため、国立国会図書館のJAPAN/MARC、図書館流通センターのTRC MARC、アメリカ議会図書館のUSMARCなどの機械可読目録(MARC)が参照ファイルとして利用されています。書誌レコードには、タイトル、著者名、出版情報などが記録され、所蔵レコードには、各図書館における所蔵情報（資料ID、請求記号など）が記録されています。これらのレコードは相互にリンクしており、利用者は書誌情報から所蔵状況を容易に確認できます。

3. NACSIS-CATの利用方法

NACSIS-CATのデータベースは、参加機関が自館のOPAC(オンライン公開目録)にダウンロードして利用する「コピーカタロギング」方式を採用しています。そのため、各機関は自館の蔵書情報を独自に更新・管理することも可能です。

NACSIS-CATのデータは、大学図書館間の相互貸借システム「NACSIS-ILL」でも利用されています。また、Webcat Plus（サービス終了）やCiNii BooksといったWebサイトを通じて、一般ユーザーも無料で書誌情報や所蔵情報を検索できます。ただし、商用利用は禁止されています。

NACSIS-CAT 2への移行によって、クライアントソフトウェアによるインターフェースのカスタマイズが可能になり、多くの図書館システムがNACSIS-CAT/ILLに対応しています。

4. 課題と展望

NACSIS-CATは、日本における学術情報の共有に大きく貢献していますが、レコード品質の維持向上、参加機関間のデータ作成量の格差是正など、改善すべき課題も残されています。今後、データ品質の向上、データ連携の強化、さらなる利便性の向上に向けた取り組みが期待されます。

5. 関連情報

国立情報学研究所 目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)
CiNii Books

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