NECモバイルコミュニケーションズ

NECモバイルコミュニケーションズ株式会社について

NECモバイルコミュニケーションズ株式会社は、移動体通信端末の企画や開発、生産、保守などを行っていたNECグループの企業で、 NECの完全子会社として知られています。特に「NECモバイル」として親しまれ、時には「Nモバ」と略されることもありました。2009年12月に設立され、カシオ計算機や日立製作所との合弁で「NECカシオモバイルコミュニケーションズ」という名称で一時的に活動し、その後、2014年にはカシオの名前を外し、現社名に変更されました。

会社設立と事業展開

当初、同社はNECのモバイルターミナル事業本部とカシオ日立モバイルコミュニケーションズ（CHMC）の統合の一環として、NECの完全子会社として設立されました。2010年にはCHMCを吸収合併し、事業を本格化させます。しかし、海外での独占禁止法に関する審査の遅延によって、初期の事業統合にはいくつかの延期が生じました。

さらに、日立製作所も主要株主ではありましたが、事業統合後は日立ブランドの携帯電話端末は発売されなくなりました。とはいえ、日立のコンシューマエレクトロニクス製品との連携も進められ、いくつかの機種で共通機能が確認されるなどの協力関係がありました。また、トイズファクトリーのモバイルサイトも運営し、エンターテインメント分野との融合を図りました。

スマートフォン時代の苦悩

しかし、2010年代に入り、スマートフォンの急速な普及に伴い、この会社は市場での厳しい競争にさらされました。特にAppleやサムスンといった海外メーカーの影響が強く、NECモバイルは新しいスマートフォンの開発において後れを取ってしまいました。2013年には新たなスマートフォンの開発を中止し、在庫の販売に切り替えざるを得ませんでした。この動きは、レノボとの携帯電話事業統合も検討したものの、最終的には断念する結果となりました。

事業の譲渡と解散

続いて、同年12月にはカシオと日立が保有していた全株式をNECが買い取り、会社は再度NECの完全子会社となりました。このため、カシオと日立は携帯電話端末事業から完全に撤退することになりました。

そして、2016年3月1日に親会社であるNECに携帯電話端末事業が譲渡され、同月24日には法人としてのNECモバイルコミュニケーションズが解散しました。これにより、同社がもたらした製品やサービスもその影を潜め、名実ともに携帯端末市場からは姿を消すこととなりました。

終焉とその後

2021年の時点で、NECの携帯電話に関するサポートも終了し、自動車電話101型から約33年間にわたった歴史に幕を閉じました。また、2026年のFOMAサービス終了に伴い、NEC製の携帯電話は完全に使用できなくなる見通しです。

総じて、NECモバイルコミュニケーションズは、かつての名声や存在感を背に持ちながらも、変化する市場環境に適応できずにその活動を終えた企業であり、モバイル通信の歴史における一つの章を締めくくったといえるでしょう。

もう一度検索