NIGHT FISHING

サカナクション『NIGHT FISHING』解説

『NIGHT FISHING』（ナイト・フィッシング）は、サカナクションが2008年1月23日にリリースした2枚目のスタジオ・アルバムです。前作に続き、北海道で制作された本作は、バンドの音楽性を深化させ、新たな方向性を示唆する作品として位置づけられています。

制作の背景

2005年に札幌で結成されたサカナクションは、ライブ・フェスティバルへの出演を機に注目を集め、前作『GO TO THE FUTURE』でメジャーデビューを果たしました。
『NIGHT FISHING』は、彼らが北海道を拠点として制作した最後のアルバムであり、制作にあたっては、よりポピュラーな音楽性を追求しつつ、バンドの個性を最大限に活かすことが目指されました。しかし、その過程では、スタッフやメンバーとの意見の衝突も多く、困難な制作状況だったようです。リード曲についても、山口一郎が推す「ナイトフィッシングイズグッド」ではなく、スタッフの提案した「サンプル」が採用されるなど、妥協を強いられる場面もありました。

音楽性と歌詞

アルバムは、エレクトロミュージックの要素を最小限に抑えつつ、エンターテイメント性と音楽性のバランスを保つように制作されました。プログレッシブ・ロックの要素を残しつつ、環境音楽やフォーク・ミュージックの要素を取り入れることで、サウンドの幅を広げています。
歌詞においては、山口一郎独特の詩的な世界観が展開されており、1970年代の歌謡曲を彷彿とさせる叙情性と雄弁さが特徴です。日常の風景や感情を繊細な言葉で表現し、聴く人の心に深く響く作品となっています。

プロモーションとリリース

アルバムに先駆け、配信シングル「ワード/サンプル」や「ナイトフィッシングイズグッド」がリリースされました。リード曲「サンプル」は、ラジオでヘビーローテーションされ、FM NORTH WAVEのチャートで5位を記録するなど、注目を集めました。
アルバム発売後には、全国ツアーを行い、Myspaceでの試聴サイト開設や雑誌での特集など、積極的なプロモーション活動を展開しました。
2015年には、リマスタリングを施したLP盤とCDがリリースされ、再び注目を集めています。

評価と影響

『NIGHT FISHING』は、音楽評論家から肯定的な評価を受けています。音楽雑誌『MUSICA』の寺田宏幸は、アルバムを「傑作」と評価し、歌詞の世界観と音楽性を高く評価しました。
オリコンアルバムチャートでは53位を記録し、前作を上回るセールスを記録しました。
本作は、サカナクションの音楽性を確立する上で重要な作品であり、その後の活動に大きな影響を与えました。ポピュラーでありながらも、独自の世界観を追求する彼らの姿勢は、多くのファンを魅了し続けています。

収録曲について

アルバムには、「サンプル」「ナイトフィッシングイズグッド」「ワード」など、多様な楽曲が収録されています。これらの楽曲は、それぞれ異なるテーマや音楽性を持っており、アルバム全体として、バラエティに富んだ内容となっています。
各楽曲の歌詞は、日常の風景や感情を繊細に描き出し、聴く人の心に深く響きます。また、独特のメロディーとサウンドは、サカナクションならではの世界観を創り上げています。

『NIGHT FISHING』は、サカナクションの音楽的な進化を示すとともに、彼らの独自の世界観を確立した重要な作品と言えるでしょう。ぜひ、じっくりと聴き込んで、その魅力を堪能してください。

もう一度検索