NIGHT OF FIRE

NIGHT OF FIRE

「NIGHT OF FIRE」は、イタリアの音楽プロデューサー、ブラット・シンクレア（Bratt Sinclaire）が生み出し、NIKO名義で発表された代表的なユーロビート楽曲です。この曲は元々イタリアのDELTAレーベルからリリースされましたが、現在は制作者であるブラット・シンクレア主宰のシンクレアスタイル（SinclaireStyle）レーベルが権利を保有しています。日本では1997年10月22日に発売された「SUPER EUROBEAT VOL.82」に初収録され、日本の音楽シーンに紹介されました。

この楽曲は、日本のパラパラブームを牽引した中心的楽曲の一つであり、ブラット・シンクレアのキャリアにおける最大のヒット曲とされています。初登場時はアルバム内で特に注目される存在ではありませんでしたが、人気タレントの木村拓哉氏がテレビ番組で「NIGHT OF FIRE (New Generation Remix)」を使用したことがブレイクの大きなきっかけとなりました。この出来事を契機に楽曲は一躍脚光を浴び、1990年代後半から2000年代初頭にかけての第3次ユーロビートおよびパラパラブームを牽引する存在としてブレイクを果たしました。以降、「SUPER EUROBEAT」シリーズのノンストップミックス盤などにおいては、定番曲として頻繁に採用されることになります。

「NIGHT OF FIRE」には、音源ヴォーカルとライブヴォーカルが異なるという特異な事情があります。CDなどで聴かれるのはマウリツィオ・デ・ジョリオ（Maurizio De Jorio）の歌声ですが、ライブステージでは主にエドアルド・アレンギ（Edoardo Alrenghi）がパフォーマンスを行いました。これは、楽曲の日本でのリリースに際し、エイベックス側がオリジナルの録音に修正を求め、ヴォーカルをマウリツィオ・デ・ジョリオに変更して再録音したためです。エドアルド・アレンギはステージ専属契約だったため、2000年に日本で行われたエイベックスのイベントにはNIKOとして彼が出演しました。

楽曲は様々なメディアとのタイアップを通じて広く知られるようになりました。アニメ『頭文字D』では、First Stageの重要なレースシーン（第23話）のBGMとして使用され、作品ファンに強い印象を残しました。ゲーム分野でも人気が高く、『頭文字D ARCADE STAGE』の他、『ParaParaParadise』、『beatmania IIDX 6th style』、『太鼓の達人』など、多数のリズムゲームや音楽ゲームに収録されています。また、2005年にはパイオニアのテレビCMにも使用された実績があります。

2005年頃には、タレントの長州小力氏がこの曲に合わせて披露した「ド真ん中パラパラ」が社会現象となり、楽曲が再び幅広い層から注目を集めました。このパフォーマンスはメディアで頻繁に取り上げられ、同年発売の「SUPER EUROBEAT VOL.160」の付属DVDにも収録されるほどの反響を呼びました。

リリースの形態として、1999年には12インチのアナログレコード盤も登場しました。CDにおいては、初収録以降ノンストップミックス版や短く編集されたEDIT版での収録が主でしたが、オリジナルのフルバージョンであるExtended Versionが日本のCDに初めて収録されたのは、2007年1月31日発売の「SUPER EUROBEAT Vol.174」（Disc2）においてのことでした。

「NIGHT OF FIRE」には、多数の派生バージョンやカバーが存在します。「NEW GENERATION MIX」などのリミックスに加え、複数のアーティストによって日本語でのカバーが行われています。dream、HINOIチーム with コリッキー、長州小力（原詞）、森永真由美 feat. 浜田ブリトニー、eggオールスターズ、そして「パラホス」関連など、様々なアーティストが日本語詞や補作詞を加えてこの曲をカバーしています。また、ユーロビートの枠を超え、ハードなギターを取り入れたハイパーテクノアレンジ版が「SUPER DANCE FREAK VOL.78」に収録された例もあります。

その他、JR東日本硬式野球部が試合時の応援歌「JRファイヤー」として使用しているといったユニークな事例も存在します。

キャッチーなメロディーと日本の音楽シーン、特にユーロビートおよびパラパラ文化に与えた多大な影響により、「NIGHT OF FIRE」は時代を象徴する不朽の名曲として、今なお多くの人々に記憶され続けています。

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