NIPPON NO ROCK BAND

KUWATA BAND - NIPPON NO ROCK BAND

『NIPPON NO ROCK BAND』は、KUWATA BANDが1986年7月14日に発表した唯一のオリジナルアルバムです。タイシタレーベルからレコード、CD、カセットテープの形態でリリースされました。その後、1992年と2001年にはリマスタリングCDが再発売され、2016年にはダウンロード配信、2019年にはストリーミング配信も開始されています。

制作背景

このアルバムは、サザンオールスターズが活動休止していた期間に、桑田佳祐が1年間限定で結成したKUWATA BANDによって制作されました。サザンオールスターズとの差別化を図るため、当時の桑田佳祐が考えていたロックの精神論を色濃く反映した作品となっています。

桑田佳祐にとって、このアルバムは唯一のオリジナルアルバムであり、KUWATA BAND名義の作品としては1作目として扱われています。

音楽性とリリース

アルバム制作当時、桑田は自身のロックを表現するには英語で歌うしかないという考えに至り、日本のロックのサンプルを作ろうという発想から、全曲英語詞で制作されました。作詞はトミー・スナイダーが担当し、歌詞カードには桑田独自の解釈による日本語訳詞も掲載されています。

収録曲

1. SHE'LL BE TELLIN' (真夜中へデビューしろ!!) (3:54)
2. ALL DAY LONG (今さら戻ってくるなんて) (4:19)
3. ZODIAK (不思議な十二宮) (4:10)
4. BELIEVE IN ROCK'N ROLL (夢見るロック・スター) (3:17)
5. PARAVOID (彼女はパラボイド) (3:37)
6. YOU NEVER KNOW (恋することのもどかしさ) (4:24)
7. RED LIGHT GIRL (街の女に恋してた) (3:47)
8. GO GO GO (愚かなあいつ) (3:38)
9. BOYS IN THE CITY (ボーイズ・イン・ザ・シティ) (4:37)
10. DEVIL WOMAN (デビル・ウーマン) (4:14)
11. FEEDBACK (理由なき青春) (2:45)
12. I'M A MAN (アイム・ア・マン・フロム・ザ・プラネット・アース) (3:58)

批評と桑田自身の評価

桑田自身は本作を失敗作と捉えており、「フリスビーか鍋敷きにしてほしい」「飲み屋でかかったら泣く」とまで発言しています。評論家からは「方法論だけを真似ていて、結局は日本人に聴かせるための音楽ではないか」「日本人の枠を越えられるわけがない」「桑田の音楽はしょせんご飯にみそ汁だ」といった批判もあったと語っています。

桑田はその後、日本語と英語を融合させた楽曲を発表し、1990年代以降は日本語を前面に押し出した作風へと転換。「月」（1994年）や「東京」（2002年）など、文学性と日本情緒をたたえた作品を発表するようになり、歌詞の世界は深みを増していきました。この変化について、桑田は「日本人歌手としての自覚が強くなった」と述べています。

参加ミュージシャン

桑田佳祐: Vocal(#1～10,12), Guitar(#1～12)
今野多久郎: Percussion, Chorus(#1～12)
河内淳一: Guitar(#1～12), Chorus(#1～10,12), Vocal(#11)
小島良喜: Keyboard, Chorus(#1～12)
琢磨仁: Bass, Chorus(#1～12)
松田弘: Drums, Chorus(#1～12)

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