NO WAY BACK 逃走遊戯

概要

『NO WAY BACK 逃走遊戯』（原題：No Way Back）は、1995年に日本とアメリカ合衆国が共同で制作したアクション・スリラー映画です。ニューヨークに進出しようとする日本人ヤクザと、それを追うFBI捜査官、そして彼らに立ちはだかるニューヨークマフィアとの緊迫感あふれる逃走劇を描いています。主演はラッセル・クロウと豊川悦司が務め、国際色豊かなキャストが集結しました。特に、ヤクザの幹部を演じた豊川悦司は、その演技が高く評価され、同年の他の出演作と共に報知映画賞助演男優賞を受賞しています。日本では東映がソフトをリリースする際に『逃走遊戯 NO WAY BACK』というタイトルを用いたこともあります。

物語

物語は衝撃的な事件から幕を開けます。ニューヨークマフィア、サラーノ・ファミリーのアジトに潜入していた女性FBI捜査官セイコが、突如として首領サラーノの息子ヴィクターを含むアジトにいた全員を銃殺し、自ら命を絶ちます。この不可解な事件の真相を探るため、セイコの上司であるFBI捜査官ザック・グラントは調査を開始します。やがて彼は、ニューヨークへの進出を虎視眈々と狙う日本人ヤクザ、ユウジ・コバヤシの存在に行き着き、彼を逮捕します。

しかし、事件はさらに複雑な様相を呈します。最愛の息子ヴィクターを失ったサラーノは、報復としてザックの息子エリックを誘拐。逮捕されたユウジを引き渡すようザックに要求してきます。息子を救い出したい一心で、ザックはユウジを連れて、取引場所であるロサンゼルスへ向かう飛行機に乗り込みます。

機内での移動中、ユウジは自分がマフィアとの取引の駒にされようとしていることに気づき、突如ハイジャックを決行します。飛行機は砂漠の中の飛行場に強行着陸させられ、ユウジは乗務員のメリーを人質に取り、広大な砂漠へと逃走します。ザックは人質となった息子を取り戻すため、そして職務を遂行するため、ユウジの追跡を開始します。激しい追跡の末、ザックは砂漠の中でユウジを捕らえます。

しかし、彼らが束の間の休息をとっている間に、サラーノの手下に見つかり、捕らえられてしまいます。絶体絶命の状況下、サラーノ・ファミリーと、彼らの動きを察知して現場に駆けつけたFBI、そしてユウジを救出するために現れたヤクザの配下たちが入り乱れ、激しい銃撃戦が勃発します。この三つ巴の壮絶な戦いの混乱に乗じて、ザックとユウジは奇跡的に脱出を果たします。

予測不能な展開を経て、再び二人きりとなったザックとユウジは、サラーノとの最終的な取引場所へ向かって逃避行を続けます。その道中、彼らは互いの過去や家族に対する思い、そしてそれぞれの抱える事情や葛藤を語り合います。敵として出会った二人でしたが、共に極限状況を生き抜く中で、次第に敵対心は薄れ、奇妙な連帯感、あるいは友情のようなものが芽生えていきます。そしていよいよ約束の取引の時が訪れ、ザックとユウジはそれぞれの目的、それぞれの覚悟を胸に、待ち受けるサラーノと対峙します。

キャスト

主要キャストは以下の通りです。

ザック・グラント: ラッセル・クロウ（吹替：石塚運昇）
ユウジ・コバヤシ: 豊川悦司（吹替：本人）
メリー: ヘレン・スレイター（吹替：湯屋敦子）
テツロウ: 嶋田久作（吹替：本人）
フランク・サラーノ: マイケル・ラーナー（吹替：飯塚昭三）
ヴィクター・サラーノ: アイアン・ジーリング（吹替：荒川太郎）
セイコ・コバヤシ: ケリー・ヒュー
エリック・グラント: アンドリュー・J・ファークランド（吹替：大谷育江）

ラッセル・クロウが正義感の強いFBI捜査官を演じ、後のハリウッドでの活躍に繋がる存在感を見せています。対する豊川悦司は、冷徹さと内に秘めた複雑さを併せ持つヤクザ幹部を熱演し、日本人俳優として確かな爪痕を残しました。特に自身の役の吹替も担当しており、話題となりました。

評価と受賞

本作は、日本人俳優である豊川悦司の演技が国内外で注目を集めました。彼は本作での演技、さらに同年に公開された『Love Letter』や『トイレの花子さん』での演技も合わせて評価され、第20回報知映画賞において助演男優賞を受賞するという快挙を成し遂げています。アクションシーンの迫力や、異なる文化背景を持つ主人公二人の間に生まれる人間ドラマが見どころの一本として知られています。

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