NT File System

NTFS（NT File System）とは

NTFS（NT File System）は、Windows NT系オペレーティングシステムの標準ファイルシステムとして採用されています。その高度な機能と信頼性から、現在も広く利用されています。

歴史とバージョン

NTFSは、Windows NTの発展と共に進化してきました。主なバージョンは以下の通りです。

• - NTFS 1.0: Windows NT 3.1で初登場。
• - NTFS 1.1: Windows NT 3.51で使用。
• - NTFS 1.2 (4.0): Windows NT 4.0に対応。
• - NTFS 3.0 (5.0): Windows 2000で導入。
• - NTFS 3.1 (5.1): Windows XP以降のバージョンで採用。

バージョン番号は、NTFSが実装されたWindows NT系のバージョンと関連付けられることがあります。特にNTFS 1.2とNTFS 3.xの間には互換性の問題があり、Windows NT 4.0でNTFS 3.xにアクセスするにはService Pack 4以上が必要でした。また、Windows 2000以降では、古いバージョンのNTFSにアクセスすると、自動的に新しいバージョンに変換されます。

互換性

NTFSは、初期にはPC/AT互換機|PC_AT互換機のパーティションテーブルIDがHPFSと同じであったため、ディスクユーティリティが誤動作することがありました。

後継ファイルシステム

サーバー環境向けには、NTFSの課題を克服するためにReFS（Resilient File System）が導入されましたが、ReFSはNTFSの後継という位置づけではありません。一般家庭やプロフェッショナル向けのWindowsエディションでは、今後もNTFSが使用され続ける予定です。

NTFSの特徴

NTFSは、FAT32などの旧来のファイルシステムと比較して、多くの優れた特徴を持っています。

大容量ストレージ

NTFSは、1ボリュームあたりの推奨最大サイズは2 TiBですが、実際にはそれ以上のファイルシステムを作成可能です。理論上は2^64-1クラスタまで対応できますが、コンピュータの性能により制限があります。

高速なファイル検索

ファイル管理にB+木構造を採用しており、大量のファイルが存在しても、検索やアクセス速度の低下が少ないのが特徴です。

長いファイル名

MS-DOSの8.3形式のファイル名制限がなくなり、Unicodeで最大255文字までの長いファイル名を使用できます。

POSIXサポート

POSIX.1仕様に準拠し、ファイル名の大文字と小文字の区別、アクセス権、ハードリンク、互換性のあるタイムスタンプなどをサポートしています。

代替データストリーム

一つのディレクトリに複数のデータストリームを持つことができ、ファイルの概要やアクセス制御リストなどを効率的に管理できます。これは、MacintoshのHFS+におけるマルチフォークに相当します。

堅牢性とセキュリティ

• - 堅牢性の向上: ジャーナリング機能により、システムの障害時にファイルシステムの不整合を防ぎます。
• - 耐障害性: 不良セクタを動的に認識し、データ損失のリスクを軽減します。
• - セキュリティの向上: ACLによる詳細なアクセス権設定とファイルアクセスの監視が可能です。
• - ディスククォータ: ユーザーやディレクトリごとのディスク使用量の上限を設定できます。
• - 暗号化: EFS（Encrypting File System）による透過的な暗号化をサポートします。
• - スナップショット: VSS（ボリュームシャドウコピーサービス）により、バックアップや復元が容易です。
• - 変更ジャーナル: ファイルに対する変更履歴を記録します。

容量効率の向上

• - 圧縮: LZNT1アルゴリズムによるファイル単位での透過的な圧縮をサポートします。
• - スパースファイル: ファイルの一部が0で埋められている場合、ディスク容量を節約します。
• - MFT内格納: 小さなファイルをMFT（マスターファイルテーブル）内に収めることで、容量と速度の面でメリットがあります。
• - アロケーションユニットサイズ: 最大2048 KiBのアロケーションユニットサイズを選択でき、ファイルシステムの性能を最適化できます。

後方互換性

NTFSは、仮想DOSマシン上で動作するソフトウェアのために、8.3形式のファイル名も保持できます。この機能は、Windows 7以降ではボリューム単位で有効・無効を切り替え可能です。また、ファイル名の大文字・小文字の区別は、サブシステムによって異なります。さらに、ファイルシステムフィルターを通じて、任意のソフトウェアでファイルシステム機能を拡張できます。

チェックと修復

Windowsには、「chkdsk」コマンドが用意されており、ファイルシステムの論理エラーや物理エラーをチェックし、修復できます。Windows 8では、メタデータの走査とエラー記録をオンラインで行うことで、ボリュームのダウンタイムを削減しています。

NTFSの欠点

• - フラグメンテーション: NTFSはFAT32より断片化しにくいですが、使用状況によっては断片化が発生します。
• - 機能制限: Windows XP以前では、NTFSボリュームをマウントしたままメンテナンスできませんでした。シンボリックリンクのサポートは、Windows Vista以降です。
• - コードページ: ファイル名をUnicodeで格納しますが、非Unicode文字種で参照した場合、名前の不一致が発生する可能性があります。
• - アクセスタイム: ファイルアクセス時刻を記録するため、読み出しだけでもディスク書き込みが発生し、パフォーマンスに影響を与える場合があります。Vista以降、既定では更新されません。

Windows NT系以外からのアクセス

NTFSはWindows NT系以外のOSから直接アクセスするにはリスクが伴います。マイクロソフトは、フラッシュドライブ向けに最適化されたexFATの仕様を公開しています。macOS、Linux、FreeBSDなどでは、読み取り専用のサポートがありますが、NTFS-3Gなどのサードパーティ製ドライバを使用することで、読み書きが可能になります。

その他のアクセス方法

• - NTFS-3G: オープンソースで、NTFSパーティションへの読み書きをサポートします。
• - Captive NTFS: Windows内のドライバを利用してNTFSパーティションへの読み書きをサポートします。
• - 市販のアクセスドライバ: 「Microsoft NTFS for Mac by Paragon Software」などがあります。

まとめ

NTFSは、Windows環境における重要なファイルシステムであり、その多機能性と堅牢性によって、幅広い用途で利用されています。大容量ストレージの効率的な管理から、高度なセキュリティ機能まで、多くの利点を提供します。

もう一度検索