NTTワールドエンジニアリングマリン

NTTワールドエンジニアリングマリン株式会社について

NTTワールドエンジニアリングマリン株式会社は、NTTコミュニケーションズのグループ企業として、国際通信や電力ケーブルなど、海底ケーブルの敷設および保守を主な事業として展開しています。単にケーブルを敷設するだけでなく、同時に海底への埋設も行うことで、ケーブルを保護し、より安全な通信環境を構築することに貢献しています。

多岐にわたる事業展開

海底ケーブル敷設・保守事業に加え、同社は衛星通信を利用した海洋ブロードバンドサービスや、海洋深層水の採取といった多角的な事業も展開しています。本社に加え、長崎県長崎市に長崎事務所、フィリピンのマニラにマニラ支店を構え、グローバルな事業展開を支えています。

災害時における貢献

同社が保有するケーブル敷設船は、災害発生時には緊急車両や通信機材の搬入、災害対策本部としての機能、臨時の基地局設置、応急的な海底ケーブル敷設など、多岐にわたる支援活動を行うことが可能です。過去には、台風対策のための工事用車両輸送や、北海道胆振東部地震による大規模停電の際には、NTTグループ施設への非常用発電機とその燃料の輸送を行いました。2020年9月には、同様の災害対策機能を持つ船舶を保有するKDDIグループの国際ケーブル・シップと、災害時における船舶の相互利用に関する協定を締結し、より強固な災害対策体制を構築しています。

保有船舶

同社は、以下の特徴的な船舶を保有しています。

VEGA: 1984年竣工のこの船は、1,706総トンで、全長74.25mです。1998年までは「光洋丸」として運用され、現在はフィリピン船籍として東南アジア諸国の海底ケーブル保守に活躍しています。
すばる（SUBARU）: 1999年2月竣工の9,557総トン、全長123.33mの大型船です。マニラを母港とし、主に海外のケーブル保守に従事しています。
おりおん: 2013年10月竣工の比較的小型な船舶で、298総トン、全長54.95mです。浅海部でのケーブル建設や保守作業に用いられます。
きずな: 2017年3月竣工の8,500総トン、全長109mのケーブル敷設船で、長崎を母港とし、主に日本国内のケーブル保守に活躍しています。

過去には、「黒潮丸」や「瀬戸内丸」といった船舶も保有していました。

海底線史料館

長崎事務所の敷地内には、海底ケーブルに関する貴重な資料を展示する海底線史料館があります。この建物は、明治29年に陸軍省臨時台湾電信建設部が敷設船へのケーブル移動用の電源舎として建設した赤煉瓦造りの洋風建築です。昭和43年に撤去される予定でしたが、明治100年にあたる年だったことから保存が決定し、1979年に史料館として開館しました。2008年には近代化産業遺産にも認定されています。

史料館では、過去に活躍した船舶の模型や海底ケーブルの実物、敷設に使用された機材、乗組員の制服などが展示されています。見学には予約が必要で、平日の9時から15時まで開館しています。

NTTワールドエンジニアリングマリンは、海底ケーブルの敷設・保守技術を通じて、国際通信の安定化に貢献しています。また、災害時にはその船舶を活用して迅速な支援活動を行い、社会インフラの維持に重要な役割を果たしています。

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