NVLink

NVLinkは、NVIDIAが開発した高速インターコネクト技術であり、CPUとGPU間、そしてGPU同士を直接接続するためのポイントツーポイント通信プロトコルです。この技術は、特に高性能コンピューティング（HPC）分野において、データ転送速度のボトルネックを解消し、アプリケーションのパフォーマンスを最大化するために重要な役割を果たしています。

概要

NVLinkは、初期のバージョンではCPUとGPU間の接続、そしてGPU同士を最大80GB/秒で接続する機能を提供していました。この技術は、高性能アプリケーションの需要に応えるため、常に進化を続けています。特に、NVIDIAのデータセンター向けGPUやスーパーコンピュータなどの分野で広く採用されています。


歴史と進化

2016年4月、NVIDIAはPascalマイクロアーキテクチャを搭載したTesla P100製品にNVLinkを初めて実装しました。これにより、GPUの並列処理能力を最大限に引き出し、大規模なデータセットの高速処理が可能になりました。

2014年には、米国エネルギー省がNVIDIAとIBMと契約し、スーパーコンピュータ「Summit」と「Sierra」を構築しました。これらのシステムでは、ノード間の相互接続に帯域幅300GB/sのNVLink 2が採用され、システム全体をInfiniBandで接続することで、高速なデータ通信を実現しました。これらのスーパーコンピュータは、NVIDIAのVoltaマイクロアーキテクチャとIBMのPOWER9 CPUを組み合わせることで、非常に高い計算性能を達成しています。

現在、最新の第4世代NVLinkは、Hopperマイクロアーキテクチャで採用されており、帯域幅は900GB/秒に達しています。この大幅な帯域幅の向上により、より複雑な計算処理や大規模なデータ転送がより高速に実行できるようになりました。

技術的特徴

NVLinkの最大の特徴は、ポイントツーポイント接続であるということです。これにより、従来のバス接続と比較して、レイテンシを大幅に削減し、データ転送の効率を向上させることができます。また、NVLinkは、複数のGPU間でデータを直接共有することができるため、分散処理環境においても高いパフォーマンスを発揮します。NVLinkは、PCI Expressのような他のインターコネクト技術と比較して、より高い帯域幅と低レイテンシを実現します。

応用分野

NVLinkは、人工知能（AI）や機械学習、深層学習といった分野で特に重要な技術となっています。これらの分野では、大量のデータを高速に処理する必要があるため、NVLinkのような高速インターコネクト技術が不可欠です。また、科学技術計算やシミュレーションなど、高性能コンピューティングを必要とする様々な分野でも、NVLinkが広く活用されています。

関連項目

Scalable Link Interface
インテル QuickPath インターコネクト
PCI Express
HyperTransport
ポイント・ツー・ポイント
Message Passing Interface

外部リンク

Summit - オークリッジ国立研究所
Sierra - ローレンス・リバモア国立研究所

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