NeoOffice

NeoOfficeは、macOS上で動作するオフィススイートとして、OpenOffice.org（OOo）から分岐し開発されました。当初はOOoと同等の機能を備えていましたが、2018年6月以降はLibreOffice 4.4をベースとしています。ワープロ、表計算、プレゼンテーション、ドローソフトといった、オフィス作業に必要なアプリケーションが含まれています。

歴史と開発

NeoOfficeは、macOSのAquaインターフェースとOOoの機能を統合することを目指して開発が始まりました。初期のバージョンでは、Javaテクノロジーを利用していましたが、LibreOfficeベースとなった2018年以降は、データベース機能などを除き、Javaの使用をほとんど廃止しています。

主な開発者はPatrick LubyとEdward Peterlinです。開発はNeoOffice.orgによって行われました。2023年9月2日にリリースされたバージョン2022.7が最終バージョンとなり、2023年12月をもって開発は終了しました。開発チームはユーザーに対し、LibreOfficeへの移行を推奨しています。

開発の背景

OpenOffice.orgには、X11版が存在していましたが、macOSのネイティブ環境で動作するバージョンは長らく開発が停滞していました。そこで、macOS上でネイティブに動作するOpenOffice.orgを実現することを目的に、NeoOfficeの開発がスタートしました。

特徴

X11版のOOoは、macOSで利用可能ですが、Apple X11やXDarwinのインストールが必要であり、日本語入力などの問題がありました。そのため、macOSでは、OOoよりもNeoOfficeの利用が推奨されていました。NeoOfficeは、インストールが容易で、Aqua版のOpenOffice.orgよりもAquaライクなインターフェースを持ち、macOSのフォント、印刷サービス、クリップボード、ドラッグ＆ドロップ機能などを活用できます。Macとの親和性が高い点が大きな特徴です。

ただし、NeoOfficeはX11版よりも多くのメモリを消費し、一部の機能の処理速度が遅いという指摘もあります。また、追加されたコードはOOoほど十分なテストを受けていないという点も考慮が必要です。

2018年時点のNeoOfficeは、Microsoft Officeとの互換性があり、LibreOffice 4.4をベースとしています。

ライセンスとプロジェクト

NeoOffice/JはGPLライセンスを採用しており、ソースコードを改変して作成したソフトウェアを配布する場合には、自由ソフトウェアとして提供する必要があります。一方、OOoは以前LGPLとSISSLを使用していましたが、SISSL廃止後はLGPLに一本化されました。サン・マイクロシステムズは、OpenOffice.orgの商業版としてStarOfficeを販売していました。

関連プロジェクトとしてNeoOffice/Cがありました。これはmacOS版のOOo 2.0を開発するためのプロトタイプとして、AppleのCocoa APIを使ってmacOS用OOo 1.xを開発するプロジェクトでしたが、実装が非常に困難であることが判明し、不安定な状態でした。そのため、より見込みのあるNeoOffice/Jが支持され、NeoOffice/Cは棚上げされました。

NeoOffice 1.2のリリース時に、アプリケーション名から/Jが削除され、単にNeoOfficeとなりました。2008年10月には、Mac OS X v10.4以降にネイティブ対応した本家OOo 3.0が公開されました。2012年リリースのNeoOffice 3.3以降は、JavaベースではなくCocoaベースに変更されています。2017年には、古いOOo 3.1.1のコードベースから、LibreOffice 4.4のコードベースへの移行が完了しました。2018年時点のバージョンは、Mac App Storeで有料販売されていました。

NeoOfficeは、macOS環境での使いやすさを追求し、長年にわたり利用されてきましたが、開発終了に伴い、ユーザーにはLibreOfficeへの移行が推奨されています。

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