LibreOffice

LibreOffice(リブレオフィス)



LibreOfficeは、The Document Foundationが開発を支援する、自由でオープンソースのオフィススイートです。商用ソフトウェアであったStarOfficeを起源とし、OpenOffice.orgの後継として2010年に誕生しました。現在では、最も活発に開発が進められているオープンソースのオフィススイートとして知られています。

概要



LibreOfficeは、ワープロソフトのWriter、表計算ソフトのCalc、プレゼンテーションソフトのImpress、ドローソフトのDraw、データベースソフトのBase、数式作成ソフトのMathといった、ビジネスシーンで必要となる多様なアプリケーションで構成されています。117の言語に対応し、世界中で利用されています。

標準ファイル形式には、国際標準規格であるオープンドキュメント形式(ODF)を採用しており、Microsoft Officeのファイル形式との互換性も考慮されています。インポート・エクスポートフィルターを使用することで、Microsoft Office形式のファイルの読み書きも可能ですが、完全な互換性があるわけではないため注意が必要です。

LibreOfficeは、Windows、macOS、LinuxといったデスクトップOSだけでなく、AndroidやiOSといったモバイルOSでも利用可能です。さらに、Webブラウザ上で動作するLibreOffice Onlineも提供されており、様々な環境でオフィス作業ができます。

歴史



LibreOfficeは、OpenOffice.orgがオラクルに買収されたことに端を発します。買収前からコミュニティ内では開発方針への不満があり、オラクルによる買収を機に、OpenOffice.orgの開発メンバーらがThe Document Foundationを設立し、LibreOfficeの開発が始まりました。

初期のLibreOfficeはOpenOffice.orgのバージョン番号を引き継いでいましたが、その後は独自に開発が進められました。多くのLinuxディストリビューションで標準オフィススイートとして採用され、プリインストール版も提供されています。

2011年1月には最初の安定版であるLibreOffice 3.3がリリースされました。以降、年2回のペースで定期的にメジャーリリースが行われ、多くの新機能が追加されています。開発者の数は継続的に増加しており、ソースコードの改善も進んでいます。

各コンポーネント



LibreOfficeは、以下のコンポーネントで構成されています。

Writer: ワープロソフト
Calc: 表計算ソフト
Impress: プレゼンテーションソフト。
Draw: ドローソフト
Base: データベースソフト。
Math: 数式作成ソフト。

他のオフィスソフトとの相互運用性



LibreOfficeは、標準ファイル形式にODFを使用していますが、Microsoft Officeのファイル形式(97-2003形式、OOXML形式)のインポートとエクスポートが可能です。しかし、これらの形式間には完全な互換性がないため、変換時にデータが欠落する可能性があります。そのため、日常的な利用には注意が必要です。

また、LibreOfficeの開発元であるThe Document Foundationは、Document Liberation Projectというプロジェクトを運営しており、Microsoft Works、WordPerfect、クラリスワークス/AppleWorksなど、他のオフィスソフトで作成されたファイルの読み込みにも対応しています。

Apache OpenOfficeとの関係



LibreOfficeの派生元であるOpenOffice.orgは、現在ではApacheソフトウェア財団によって「Apache OpenOffice」として開発が続けられています。LibreOfficeは、Apache OpenOfficeの成果物を取り込みつつ、独自機能の開発を進めています。

ただし、両ソフトウェアは内部構造が異なり、ライセンスも異なるため、LibreOfficeからApache OpenOfficeへのソースコードの移植は容易ではありません。また、The Document Foundationは、Apache OpenOfficeに対して、開発が停滞していることを指摘し、LibreOfficeへの移行を促す公開書簡を送付しています。

派生版



LibreOfficeには、以下の派生版が存在します。

LibreOffice Portable: USBメモリなどのリムーバブルメディアから起動できるWindows版。
LibreOffice Online: Webブラウザ上で利用できるオンライン版。
iOS版: タブレット端末向けに開発中のiOS版。
LibreOffice Viewer: Android版のドキュメント閲覧ソフト(編集機能付き)。
Collabora GovOffice: 英国のCollabora社が公共機関向けに提供している商用版。

バージョン



LibreOfficeには、新機能を優先した「最新版(Fresh)」と、安定性を優先した「安定版(Still)」の2つのメジャーバージョンがあります。年2回メジャーリリースが行われ、その後は脆弱性修正や翻訳改善などのメンテナンスリリースがほぼ毎月行われます。

バージョン番号は、初期はOpenOffice.orgから引き継がれていましたが、現在は西暦の下2桁と月で表記される形式に変更されています。

採用事例



LibreOfficeは、多くの企業団体政府機関、地方公共団体で採用されています。日本国内では、福島県会津若松市役所、埼玉県久喜市役所、滋賀県甲賀市役所、静岡県湖西市役所、愛知県豊明市役所、徳島県庁などが採用しています。海外では、フランス政府ブラジル政府イギリス政府などが採用しています。

地域化



LibreOfficeは、100以上の言語に対応しており、日本語版も提供されています。LibreOffice日本語チームが、翻訳活動やドキュメント整備を行っています。

Webラジオ



2014年から2015年にかけて、LibreOfficeを応援するWebラジオ番組『今夜もLBR!!』が配信されていました。

LibreOffice Conference



The Document Foundationは、2011年から毎年LibreOffice Conferenceを開催しています。世界中の開発者やユーザーが集まり、情報交換や交流を行っています。

関連書籍



LibreOfficeに関する書籍も多数出版されています。入門書から実務書まで、様々なレベルの書籍があります。

関連項目



OpenOffice.org
Apache OpenOffice
OpenDocument
オフィススイートの比較

外部リンク



LibreOffice 公式サイト (英語)
LibreOffice 公式サイト (日本語)
LibreOffice Facebook (英語)
LibreOffice Twitter (英語)
LibreOffice 日本語チーム
LibreOffice 日本語ドキュメンテーションWiki
LibreOffice 日本語チームBlog
LibreOffice 日本語チーム Twitter
LibreOffice 日本語 Facebook
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