O・J・シンプソン

オレンタール・ジェームス・シンプソン

オレンタール・ジェームス・シンプソン（Orenthal James Simpson, 1947年7月9日 - 2024年4月10日）は、アメリカ合衆国の元アメリカンフットボール選手、俳優です。カリフォルニア州サンフランシスコ出身で、彼は「O.J.」というイニシャルで知られ、「ジュース」という愛称でも親しまれていました。引退後、彼はプロフットボール殿堂にも選ばれるなど、多くの名声を築きましたが、1994年には元妻の殺害事件に関与することが大きな注目を集めました。

生い立ちと学歴

シンプソンはアフリカ系アメリカ人の両親のもとに生まれ、幼少期には栄養失調により健康に問題があったとされています。彼のアメリカンフットボールのキャリアは、地元のガリレオ高校で始まり、そこでの活躍が彼をサンフランシスコ市立大学の短期大学部に導きました。在学中に2,445ヤードを走り、54タッチダウンをあげる輝かしい成績を残し、南カリフォルニア大学に編入しました。大学ではわずか2年間で当時のパシフィック・テン・カンファレンスの新記録である3,423ヤードを走り、35タッチダウンを決めるなど、彼の才能は世に知られることとなります。

NFLキャリアの始まり

1969年のNFLドラフトでシンプソンは、バッファロー・ビルズから全体1位で指名されました。しかし、彼のNFLキャリアは順風満帆なものではありませんでした。新しいオフェンスプランの下で、彼はランニングバックだけでなくレシーバーとしても起用され、十分なパフォーマンスを発揮することができませんでした。しかし、シンプソンは2年目に95ヤードのキックオフリターンタッチダウンを記録するなど、次第に頭角を現していきます。

1972年には元ヘッドコーチのルー・セイバンが復帰し、彼をオフェンスの中心として起用したことで、シンプソンはNFLでのスター選手へと成長します。この年、彼は1,251ヤードを走り、リーグのリーディングラッシャーに輝きました。

驚異的な記録

1973年にはシンプソンは、当時のNFL記録となる2,003ヤードを走破し、全米からの注目を集めることになります。彼のこの記録は後に破られることになりますが、それまでは14試合制でのシーズンにおいて、連続してこのような獲得ヤードを記録した選手はいませんでした。その後も彼は活躍を続け、1975年にNFLリーディングラッシャーとなる1,817ヤードを記録し、多くのタッチダウンを決めるなど、彼の名前はアメリカンフットボール界において不動のものとなりました。

引退後の生活と事件

シンプソンは1980年に現役を引退後、俳優としても活動を開始し、映画『タワーリング・インフェルノ』や『裸の銃を持つ男』などに出演しました。しかし、彼の人生は1994年に元妻とその友人が殺害される事件に直面し、自身も容疑者として逮捕されます。この事件は全米で大きな注目を浴び、シンプソンは刑事裁判で無罪となったものの、民事裁判では責任を認められました。

その後、2007年にはラスベガスでのスポーツ記念品の盗難事件に関与し、懲役33年の判決を受けた後、2017年に仮釈放されました。彼の人生は波乱万丈であり、スポーツ界の英雄から犯罪者へと転落したことで、大きな社会的議論を喚起しました。

死去と遺産

シンプソンは2024年4月10日にがんのために亡くなりました。彼の人生は多くの栄光と悲劇に彩られ、スポーツの枠を超えた影響を与え続けています。彼のプレースタイルは特にディフェンスの突破力とカットバック能力に秀でており、アメリカンフットボールの歴史に名を刻んだ選手でした。

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