ODPS

ODPS（Office & Document Processing System）とは

ODPS（Office & Document Processing System）は、1984年にIBMが発表した、メインフレーム・コンピューター上で動作する統合オフィスシステム・ソフトウェアです。特に、IBMのVM環境で動作し、端末機を介して利用されていました。このシステムは、電子メールの作成と交換、カレンダー機能、文書の作成・配布・所蔵・検索・印刷など、オフィス業務に必要な機能を幅広く提供し、1980年代後半から1990年代にかけて、日本、韓国、台湾で広く利用されました。

ODPSの構成と主な機能

ODPSは、複数のプログラムから構成されており、それぞれのプログラムが特定の機能を提供していました。以下に、その主な構成要素と機能について説明します。

オフィス支援プログラム（OFSP）: 元々は英語プログラムであるPROFSをベースに、日本語環境に対応させたプログラムです。主な機能として、電子メールの作成・配布、文書の添付、宛先リスト管理、スケジュール管理などが挙げられます。また、文書の所蔵管理機能も提供しており、1985年以降はPROFSへの切り替えも可能でした。
文書編成プログラム（DCP）: こちらも英語プログラムDCPを日本語環境に対応させたもので、文書の作成と印刷を主な機能としていました。文書の編集は、Script方式と呼ばれる方法で行われました。
ワークステーション文書編成プログラム（DCP/WS）: IBMのマルチステーション5550やPS/55|PS_55などのワークステーション（パソコン）上で文書作成を可能にするプログラムです。これにより、より柔軟な文書作成環境が提供されました。
ファクシミリ通信プログラム: 文字通り、ファクシミリの送受信を可能にするプログラムで、オフィスにおけるコミュニケーションを円滑にする役割を担いました。

日本、韓国、台湾での展開

ODPSの開発は、日本IBMの川崎事業所にあったIBM東京プログラミング・センター（TPC、後に大和開発研究所へ統合）が中心となり、IBMダラス・プログラミング・センター（米国テキサス州ウェストレイク）などの協力の下で行われました。1984年に日本語版が最初に発売され、その後、韓国語版、中国語繁体字版（台湾用）がそれぞれ韓国IBM、台湾IBMによって翻訳とテストが行われ、発売されました。中国語簡体字版（中国用）は、残念ながら発売には至りませんでした。

その後の動向

ODPSは、後にODPS/VMと改称されました。英語環境では、VM上ではPROFS、MVS上ではDISOSS、中型機System/36やAS/400上ではOffice/36やOffice/400など、異なる名称で同様の機能を提供するシステムが存在していたため、IBMはOfficeVisionという名称に統一を図りました。ただし、IBM ODPS/MVS（OfficeVision/MVS）は開発されませんでした。さらに、1990年代後半以降は、Lotus Notesへの移行が推奨されました。

まとめ

ODPSは、1980年代のオフィス環境において、電子メール、文書作成、スケジュール管理などの業務を効率化するために重要な役割を果たした統合オフィスシステムでした。特に、IBMのメインフレーム環境を利用していた企業にとって、不可欠なツールであったと言えるでしょう。その後のOfficeVisionやLotus Notesへの移行を通じて、オフィスシステムの進化の一端を担いました。

関連情報

IBM OfficeVision
Lotus Notes
* IBM漢字システム

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