OKEANOS

OKEANOS（オケアノス）についての詳細

OKEANOS（Oversize Kite-craft for Exploration and AstroNautics in the Outer Solar system）は、日本が進める次世代の工学ミッションで、外惑星の探査技術を結集しています。このプログラムは、2020年代後半の打ち上げを目指しており、主に木星圏をターゲットにした探査を行います。

ミッションの概要

OKEANOSは、木星トロヤ群の小惑星へと航行し、様々な科学観測を行います。この探査機は、既に「はやぶさ」において成功したサンプルリターン技術を基に発展させたもので、外惑星領域への科学観測を強化することを目指しています。木星までの航行には約6年を要するものの、航行中にも科学観測を行うため、探査の成果が期待されています。

特に注目すべきは、外惑星領域の黄色い道光が内惑星に比べて影響を与えにくいため、宇宙赤外線背景放射の直接観測が初めて行える環境が整う点です。

開発の経緯

このプロジェクトは、2015年に宇宙科学研究所（ISAS）によって「戦略的中型計画」として提案され、LiteBIRDと並ぶ戦略的中型2号機の候補として選定されました。その後、2016年から2年間にわたって必要な技術開発が進められ、2018年末には妥当な評価を受けました。しかし、2019年5月にはLiteBIRDが選ばれたため、OKEANOSは戦略的中型3号機としての検討が続けられています。

計画と構想

OKEANOSでは、3つの案が検討されました。具体的には以下のものです：
1. 着陸機による着陸ミッション（プランA）
2. サンプルリターンを伴う着陸ミッション（プランB）
3. マルチランデブーを含む着陸ミッション（プランA’）

これらの計画は技術的な実現可能性があるものの、予算制約を受けて、より簡素化されたプランAを選択しています。設計段階での工夫を通じて、着陸機や探査機の軽量化にも配慮されています。

基本構造

OKEANOSの基盤は以下の技術からなっています：

電源系

• - ソーラー電池セイル：IKAROSで実証された技術を応用し、約40m四方の薄膜太陽電池を搭載。このセイルは木星圏でも5kWの電力を供給します。

化学推進系

• - マイクロ波放電式イオンエンジン：このエンジンは、従来の「はやぶさ」よりも2倍以上の比推力を持ち、外惑星環境での大きなΔvを実現します。

探査機器

1. EXZIT（赤外線観測装置）：可視・近赤外線を利用し、黄道光や宇宙赤外線背景放射の観測を行います。
2. ALDN2（惑星間塵検出アレイ）：太陽系内の塵の分布の測定を行う装置です。
3. GAP2（ガンマ線バースト観測装置）：ガンマ線バーストの偏光観測を担います。
4. MGF（磁力計）：宇宙空間の磁場の観測を行います。

以上の技術を駆使し、OKEANOSは外惑星探査の新たな可能性を切り開くことが期待されています。

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