ONODA 一万夜を越えて

映画『ONODA 一万夜を越えて』

『ONODA 一万夜を越えて』は、2021年10月8日に公開された映画で、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の共同制作による作品です。この映画は、実在の日本陸軍少尉小野田寛郎の壮絶な実話に基づいており、監督はアルチュール・アラリが務め、主演には遠藤雄弥と津田寛治が登場します。映画は、原案としてベルナール・サンドロンの著書『ONODA 30 ans seul en guerre』を用いています。

あらすじ

物語は1944年、太平洋戦争末期から始まります。士官学校に通う小野田寛郎は、航空兵を目指しましたが、高所恐怖症が判明し、その夢は叶いませんでした。そこで、陸軍中野学校にスカウトされ、特殊なスパイ訓練を受けた結果、陸軍少尉となります。彼はフィリピンのルバング島に派遣されますが、経験不足から部隊内での信用を得ることができず、次第に孤立していきます。

1945年、米軍が島に上陸し、終戦を迎えたとの報告がなされる中、小野田は自身の使命を果たすため、部下とともにジャングルに隠れる決意を固めます。小野田は、日本のために情報を提供するため、何年でも待つ覚悟でいました。しかし、彼の部下は次第に状況に耐え切れなくなり、仲間が一人ずつ犠牲になっていきます。

1950年、事態は急変します。降伏を考えた部下の赤津から発せられる声が、次第に小野田の周囲に緊張感をもたらします。政府関係者や家族が小野田のもとを訪れ、終戦を知らせに来ますが、小野田は彼らの真意を疑い、隠れ続けます。

時は流れ、1973年に日本人青年鈴木紀夫が小野田を見つけ、彼は小野田に秘密任務を再確認させることになります。その後、鈴木は小野田を支えるために、彼の上司であった谷口少佐を見つけ、彼をルバング島に連れてきます。小野田は冷静に自分の任務の終了を確認し、武装解除して帰国する運びとなります。

キャストと評価

本作のキャストには、小野田寛郎役の遠藤雄弥と津田寛治をはじめ、仲野太賀や松浦祐也など多彩な日本人俳優が名を連ねています。撮影はカンボジアで行われており、監督は日本語を駆使した演出にこだわっています。

『ONODA 一万夜を越えて』は、第74回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でオープニングを飾り、2022年には第47回セザール賞において作品賞や監督賞など4部門にノミネートされました。特に脚本賞を受賞したことは、この映画の評価を裏付けるものとなっています。

評価に関して、Rotten Tomatoesでは高い評価を受けており、平均点は7.8とされています。Metacriticも全て高評価の評論を掲載しており、100点満点中78点を記録しています。実際、評論家たちは本作を「我を忘れてのめり込むような忍耐と共感を伴うドラマ」と評しており、小野田の名誉を追求する姿に深い感動が表現されています。

『ONODA 一万夜を越えて』は、実話に基づいた感動的な物語として、多くの観客の心に深く刻まれることでしょう。

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