OOゲージ

OOゲージ：イギリス発祥の鉄道模型規格

OOゲージは、イギリスとアイルランドで最も広く普及している鉄道模型の規格です。縮尺は一般的に1/76（4mmスケール）で、軌間は16.5mmとされています。名称のOOは「ダブルオー」と読みます。

歴史：Oゲージからの派生と規格の変遷

OOゲージの起源は1921年、イギリスのバセットローク社が販売した製品に遡ります。これは、それまでの主流であったOゲージ（縮尺1/43.5、軌間約32mm）を半分にしたものでした。当初の縮尺は1/87（3.5mmスケール）でしたが、加工技術の制約やイギリスの実物車両のサイズ感などから、次第に1/76へと変化していきました。

軌間についても、当初は5/8インチでしたが、1930年代前半には16.5mmが標準となりました。また、名称も初期の「OO」に加えて「HO」と呼ばれるようになり、混乱が生じたため、1937年にはバセットローク社が「OO」での統一を呼びかけましたが、結局、縮尺1/76、軌間16.5mmの規格を「OOゲージ」、縮尺1/87、軌間16.5mmを「HOゲージ」と呼び分けることが定着しました。

アメリカでは、縮尺1/76、軌間19mmの「アメリカンOO」が一時流行しましたが、HOゲージとの競合に敗れ、現在は少数派となっています。イギリスでも、OOゲージからEMゲージ（縮尺1/76、軌間18.2mm）やP4ゲージ（縮尺1/76.2、軌間18.83mm）といった派生規格が生まれました。

規格：縮尺と軌間の詳細

OOゲージの縮尺は1/76が一般的ですが、地域によっては1/72とされる場合もあります。また、実物の標準軌間（1435mm）を1/76に縮小すると、軌間は16.5mmより大きくなるため、OOゲージの標準軌車両は「頭でっかち」な印象となります。この問題を解決するため、アメリカでは異なる軌間を採用した規格が開発されています。

日本の場合は、1930年代には「零零番（レイレイバン）」と呼ばれており、HOゲージとともに16番ゲージに含まれることもあります。また、1/80の16番ゲージ製品を「Japanese OO gauge、3.8mm Scale」と表示する場合もあります。

ナローゲージ規格としては、軌間9mmのOO9（ダブルオーナイン）が存在します。

製品：多様なメーカーと製品の種類

OOゲージの車両は大量生産されており、完成品は射出成形によるプラスチック製が主流です。かつてはホワイトメタル製も多かったですが、近年は減少傾向にあります。他に、プラスチック製キットや、ウレタン樹脂製キット、真鍮製キットなども存在します。

線路は「道床なし線路」と「道床つき線路」がありますが、OOゲージで道床つき線路は現在発売されていません。駆動方式は、初期のゼンマイ式や手押しから、交流直巻モーターによる三線式、直流モーターによる直流三線式を経て、現在は直流二線式が主流です。デジタルコマンドコントロールの普及により、二線式でも多重制御が容易になりました。

ストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品も豊富に揃っており、レイアウト製作に必要なものはほぼすべて入手可能です。これらの製品は、模型店、オンラインショップなどで購入できます。日本においてはOOゲージが製造されていないため、海外からの輸入に頼ることになります。

主要メーカー

OOゲージの主要メーカーは、イギリスのHornby、Peco、Dapol、デンマークのHeljan、イタリアのViTrains、アメリカ合衆国のBachmannなどです。

まとめ

OOゲージは、歴史と伝統を誇る鉄道模型規格であり、その魅力は多様な製品群と活発な愛好家コミュニティにあります。イギリスで生まれた規格ですが、世界中で愛好者がおり、様々な派生規格も存在します。日本ではあまり馴染みがない規格ですが、その奥深い世界に触れてみるのも良いかもしれません。

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