Oゲージ

Oゲージ：世界基準の鉄道模型規格

Oゲージとは、鉄道模型の縮尺と軌間を規定する規格の一つで、スケールモデルやティンプレートにも用いられています。日本では「オーゲージ」や「零番」と呼ばれ、アメリカでは「Oスケール」、イギリスでは縮尺から「7mmスケール」とも呼ばれるなど、国によって呼び方が異なります。

規格と歴史

Oゲージの縮尺は、国や地域、メーカーによって異なり、日本では主に1/45、アメリカでは1/48、[イギリス]]では1/43.5が用いられます。軌間は、実物の[[標準軌]を1/45で縮小した32mmが基準ですが、縮尺の違いに関わらず、多くの国で32mmの軌間が採用されています。

Oゲージの歴史は古く、1900年頃、ドイツのメルクリン社が導入したのが始まりです。その後、イギリスやアメリカでも普及し、特にアメリカでは1930～60年代前半には、交流三線式Oゲージが最も一般的な鉄道模型でした。ヨーロッパでは第二次世界大戦までは主流でしたが、戦後はHOゲージにその座を譲りました。

日本では、湯山一郎氏が1938年に雑誌『模型鉄道』で1/45サイズを推奨し「零番」と命名したことから、1/45が基準となっています。ただし、狭軌蒸気機関車については、シリンダー間隔の問題から1/43を採用するケースもありました。この提唱は、当時日本独自の35mmゲージが存在したことを背景に、アメリカ型と日本型・イギリス型の機関車を同じ線路上で走らせることを目指したものでした。当時、機関車のみを製作する愛好者が多かったことから、この提唱は広く受け入れられました。

戦後、既製品の入手が容易になると、各国車両の混在は減少し、「零番」の当初の思想は失われましたが、1/45という縮尺は日本において定着しました。戦後しばらくはOゲージが全盛でしたが、HOゲージが登場すると、その小型さゆえの脱線や入手しにくさ、真鍮製レールより安価なブリキ製レールの採用などから、Oゲージはしばらく有利な地位を保ちました。しかし、多くのメーカーがHOゲージに移行したため、Oゲージの製品は次第に減少していきました。

1970年代以降は、熊田貿易などがOゲージ製品を製造し続け、近年ではナローゲージモデルも人気を集めています。また、OJゲージと呼ばれる、狭軌を正確に再現した日本独自の規格も存在します。

各国の規格

Oゲージの規格は国によって異なり、特に縮尺に違いが見られます。アメリカでは1/48、イギリスでは1/43.5、ヨーロッパ諸国ではNEM規格で1/45と定められています。日本は「零番」に則り、日本型車両は1/45が基準となっています。

軌間は、[メートル法]]の国々では32mm、ヤード・ポンド法を用いるアメリカでは1.252[[インチ]と、わずかな差が見られます。

派生規格

Oゲージを基にした派生規格として、アメリカで生まれたQゲージやプロト48などがあります。Qゲージは線路幅を狭めたものの、タイヤ厚さを変更しなかったため、実用性に課題が残りました。プロト48は、実物を正確に1/48で再現しようとした規格で、車輪の幅が狭くなったため、急曲線通過が困難な面も持ち合わせています。

駆動・制御方式

Oゲージ車両は、交流三線式が主流でした。これは、3本のレールを用いて交流電流を流し、車輪で集電する方式です。近年は、デジタルコマンドコントロール(DCC)と呼ばれる新しい制御方式も普及しています。DCCはデジタル信号を用いて車両を制御し、速度やライト、サウンドなどを個別に調整できます。

製品

Oゲージの製品は、車両から線路、電源、ストラクチャー、アクセサリーまで多岐に渡ります。大手メーカーから、初心者向けのスタートセットも販売されています。販売チャネルは百貨店、量販店、専門店、通信販売など多様です。ただし、日本では主流ではないため、一部の製品は輸入が必要となる場合があります。

主要メーカー

Oゲージのメーカーは、日本、アメリカ、イギリス、ヨーロッパなど世界中に存在します。日本ではカツミ、熊田貿易などが有名です。アメリカではライオネル、イギリスではバセット・ロークなどが知られています。

まとめ

Oゲージは、歴史と伝統を誇る鉄道模型規格です。その多様な規格、製品、そして世界中に広がる愛好家コミュニティは、Oゲージの魅力の一つと言えるでしょう。本稿がOゲージの世界を知るきっかけとなれば幸いです。

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